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Restaurants
- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 手打ち陰日向 at Teuchi Kage Hinata (手打ち 陰日向)
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【手打ち陰日向】
分倍河原駅から徒歩数分。住宅街の奥、看板も暖簾も控えめに構える一軒『手打ち 陰日向』。飾らぬ佇まいの中に、静かだが確かな熱が込められている。店主は、川崎の人気ラーメン店「日陰」で修業を重ねた人物。極太手打ち麺と力強い醤油スープで知られるあの名店で、基礎を叩き込まれた男が、独立の地に選んだのがこの分倍河原。そして掲げた屋号は『陰日向』——この時点で、もう哲学は明白だ。
「陰日向(かげひなた)」という言葉は、仏教の教えに由来する。「陰にして陽を助ける」——すなわち、目立たぬところで人を支える行いを尊ぶ思想。現代では「陰日向なく働く」「見返りを求めず尽くす」といった意味合いでも使われる。師の店「日陰」への敬意を感じさせつつ、自身の思想を一語に凝縮した屋号。その名の通り、手打ち・手包み・ワンオペという“陰”の仕事で、“陽”たる一杯を支えている。
一言で言えば、“噛ませる生姜ラーメン”。
まず語るべきは、圧倒的な存在感を放つ麺。幅広で極太、すすり上げるというより噛みしめて食べる設計。もち姫とはるゆたかをブレンドした手打ち生地は、不均一な厚みも含めて食感にリズムを生む。小麦の香り、もっちりを超えた弾力、そして手の温度を感じるような素朴さ。まさに麺で語る一杯。
ワンタンも同じ生地を使った贅沢仕様。厚みのある皮に包まれるのは、合挽き肉に生姜、ニンニクなどを加えたようなパンチの効いた餡。噛んだ瞬間にじゅわっと広がる肉汁に、生姜の香りが重なる。とろける繊細系ではなく、皮も餡も食べさせる系。
スープは、鶏を軸に、煮干しと浅利(アサリ)を重ねた三層仕立て。濃口醤油のカエシに鶏油を浮かせ、生姜が全体を引き締める。レンゲを運べば、まず生姜が香り、次いでアサリのミネラル感と煮干しのコク、最後に鶏のまろやかさが追いかけてくる。重ね方は複雑でも、着地は意外と軽やか。生姜が効いている分、ぐいぐい飲めてしまう設計だ。熱い、けれど澄んでいる。そんな印象のスープ。
チャーシューは角煮風。甘辛く煮込まれており、どこか“豚の生姜焼き”のような親しみやすさがある。厚みはあるが歯切れよく、脂は控えめでスープの邪魔をしない。白髪ネギが清涼感を加え、全体の構成を崩さないのも好印象。
サイドの「生姜丼」は、ラーメンの余韻をそのまま白飯に受け渡した一杯。刻みチャーシューにネギと生姜が絡み、ご飯の熱で香りが立ち上がる。ラーメンの一部として組み込まれているような自然な流れで、ラストまでブレのない世界観が貫かれている。
全体としての印象は、芯の通った一杯。麺を主役に据え、生姜で軸を通し、スープ・ワンタン・チャーシューすべてが同じ方向を向いている。突出する要素はないが、土台の設計がしっかりしている。驚きよりも、安心感と説得力。『手打ち... More
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【手打ち陰日向】
分倍河原駅から徒歩数分。住宅街の奥、看板も暖簾も控えめに構える一軒『手打ち 陰日向』。飾らぬ佇まいの中に、静かだが確かな熱が込められている。店主は、川崎の人気ラーメン店「日陰」で修業を重ねた人物。極太手打ち麺と力強い醤油スープで知られるあの名店で、基礎を叩き込まれた男が、独立の地に選んだのがこの分倍河原。そして掲げた屋号は『陰日向』——この時点で、もう哲学は明白だ。
「陰日向(かげひなた)」という言葉は、仏教の教えに由来する。「陰にして陽を助ける」——すなわち、目立たぬところで人を支える行いを尊ぶ思想。現代では「陰日向なく働く」「見返りを求めず尽くす」といった意味合いでも使われる。師の店「日陰」への敬意を感じさせつつ、自身の思想を一語に凝縮した屋号。その名の通り、手打ち・手包み・ワンオペという“陰”の仕事で、“陽”たる一杯を支えている。
一言で言えば、“噛ませる生姜ラーメン”。
まず語るべきは、圧倒的な存在感を放つ麺。幅広で極太、すすり上げるというより噛みしめて食べる設計。もち姫とはるゆたかをブレンドした手打ち生地は、不均一な厚みも含めて食感にリズムを生む。小麦の香り、もっちりを超えた弾力、そして手の温度を感じるような素朴さ。まさに麺で語る一杯。
ワンタンも同じ生地を使った贅沢仕様。厚みのある皮に包まれるのは、合挽き肉に生姜、ニンニクなどを加えたようなパンチの効いた餡。噛んだ瞬間にじゅわっと広がる肉汁に、生姜の香りが重なる。とろける繊細系ではなく、皮も餡も食べさせる系。
スープは、鶏を軸に、煮干しと浅利(アサリ)を重ねた三層仕立て。濃口醤油のカエシに鶏油を浮かせ、生姜が全体を引き締める。レンゲを運べば、まず生姜が香り、次いでアサリのミネラル感と煮干しのコク、最後に鶏のまろやかさが追いかけてくる。重ね方は複雑でも、着地は意外と軽やか。生姜が効いている分、ぐいぐい飲めてしまう設計だ。熱い、けれど澄んでいる。そんな印象のスープ。
チャーシューは角煮風。甘辛く煮込まれており、どこか“豚の生姜焼き”のような親しみやすさがある。厚みはあるが歯切れよく、脂は控えめでスープの邪魔をしない。白髪ネギが清涼感を加え、全体の構成を崩さないのも好印象。
サイドの「生姜丼」は、ラーメンの余韻をそのまま白飯に受け渡した一杯。刻みチャーシューにネギと生姜が絡み、ご飯の熱で香りが立ち上がる。ラーメンの一部として組み込まれているような自然な流れで、ラストまでブレのない世界観が貫かれている。
全体としての印象は、芯の通った一杯。麺を主役に据え、生姜で軸を通し、スープ・ワンタン・チャーシューすべてが同じ方向を向いている。突出する要素はないが、土台の設計がしっかりしている。驚きよりも、安心感と説得力。『手打ち 陰日向』は、目立たずとも記憶に残る店。陰の努力で陽の味わいを支える、そんな一杯がここにはある。
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 資生堂パーラー 銀座本店 at Shiseido Parlor
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【資生堂パーラー 銀座本店】
銀座の中心、文明開化の記憶を今も宿す老舗『資生堂パーラー 銀座本店』。1902年創業、前身は日本初のソーダファウンテン。ここはまさに“洋食文化の礎を築いた老舗”。化粧品会社の一部門として生まれながら、「美は食とともにある」という理念のもと、食の世界に美意識を持ち込んだ。その空間は、白いクロスに金彩の皿、照明の反射まで計算された静謐な舞台。客は観客であり、料理は作品だ。
幕開けを飾るのは「伝統のコンソメスープ」。琥珀色のスープから立ち上る香りは、まるで肉の旨味を凝縮したエッセンス。口に含むと、骨や筋から滲み出た深い旨味がじわりと広がり、後半にはコクがどっしりと舌を包み込む。ひと口で胃が目を覚ますような濃度感。
「クラブクロケット」は、蟹の繊維がしっかりと残る上質な仕上がり。衣は軽く油も控えめ、トマトソースの酸が蟹の甘みを引き締める。老舗の味ながら古びず、むしろ時代を超えて洗練を感じる。
「海の幸のトマトマカロニグラタン」では、ごろっとした海老や貝が贅沢に顔を出す。ベシャメルのまろやかさとトマトの酸味が層をなし、表面の焼きチーズが香ばしく全体をまとめる。熱々の湯気の向こうに、洋食の原風景が見えるようだ。
看板「オムライス」は、ふっくらとした厚みのある卵でライスを包み込む。中のチキンライスはバターの香りと粒立ちが際立ち、上にかかるのは酸味の効いたトマトソース。ケチャップではない、きちんと仕立てられたクラシックソースの気品。懐かしさと端正さが同居する、洋食の理想形だ。
「飛騨牛のビーフカレーライス」は、黒に近い深いブラウン。香りはビターで、ルウの奥に焙煎の苦味とスパイスの香りが潜む。ひと口目の衝撃よりも、食後にじわりと残る旨味の余韻が印象的。まさに“大人のカレー”という表現がふさわしい。
全体を通して一貫しているのは「端正」という言葉。皿の構成、火入れ、ソースの濃度、すべてが整っている。一皿ごとに感じる安定感が心地よい。体が覚えている味という感じ。洋食が日本でどう磨かれてきたか――その答えがここにある。100年以上の時間が積み上げた技と美意識が、静かに今も輝きを放つ。美しい洋食とは何かを知るために、この場所を訪れる価値はある。
ご馳走様でした。
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【資生堂パーラー 銀座本店】
銀座の中心、文明開化の記憶を今も宿す老舗『資生堂パーラー 銀座本店』。1902年創業、前身は日本初のソーダファウンテン。ここはまさに“洋食文化の礎を築いた老舗”。化粧品会社の一部門として生まれながら、「美は食とともにある」という理念のもと、食の世界に美意識を持ち込んだ。その空間は、白いクロスに金彩の皿、照明の反射まで計算された静謐な舞台。客は観客であり、料理は作品だ。
幕開けを飾るのは「伝統のコンソメスープ」。琥珀色のスープから立ち上る香りは、まるで肉の旨味を凝縮したエッセンス。口に含むと、骨や筋から滲み出た深い旨味がじわりと広がり、後半にはコクがどっしりと舌を包み込む。ひと口で胃が目を覚ますような濃度感。
「クラブクロケット」は、蟹の繊維がしっかりと残る上質な仕上がり。衣は軽く油も控えめ、トマトソースの酸が蟹の甘みを引き締める。老舗の味ながら古びず、むしろ時代を超えて洗練を感じる。
「海の幸のトマトマカロニグラタン」では、ごろっとした海老や貝が贅沢に顔を出す。ベシャメルのまろやかさとトマトの酸味が層をなし、表面の焼きチーズが香ばしく全体をまとめる。熱々の湯気の向こうに、洋食の原風景が見えるようだ。
看板「オムライス」は、ふっくらとした厚みのある卵でライスを包み込む。中のチキンライスはバターの香りと粒立ちが際立ち、上にかかるのは酸味の効いたトマトソース。ケチャップではない、きちんと仕立てられたクラシックソースの気品。懐かしさと端正さが同居する、洋食の理想形だ。
「飛騨牛のビーフカレーライス」は、黒に近い深いブラウン。香りはビターで、ルウの奥に焙煎の苦味とスパイスの香りが潜む。ひと口目の衝撃よりも、食後にじわりと残る旨味の余韻が印象的。まさに“大人のカレー”という表現がふさわしい。
全体を通して一貫しているのは「端正」という言葉。皿の構成、火入れ、ソースの濃度、すべてが整っている。一皿ごとに感じる安定感が心地よい。体が覚えている味という感じ。洋食が日本でどう磨かれてきたか――その答えがここにある。100年以上の時間が積み上げた技と美意識が、静かに今も輝きを放つ。美しい洋食とは何かを知るために、この場所を訪れる価値はある。
ご馳走様でした。
#資生堂パーラー銀座本店 #オムライス Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 餃子のお店もも at 餃子の店もも MOMO GYOZA
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【餃子のお店もも】
大阪・昭和町。路地に灯る黄色いテント、その下に小さな暖簾を掲げる『餃子の店 もも』。創業は2004年と、年数でいえばまだ20年にも満たないが、店構えには不思議な“老舗の風格”が漂う。派手さはなくとも、積み重ねた時間の厚みを感じさせる空気感。暖簾のくぐり方ひとつにも、地元客のリズムが染みついている。ここには、昭和町という街のゆるやかな時間が流れている。
看板の「餃子」は、まさにその象徴。ひとつひとつが小ぶりで、つまみのように軽やか。柔らかな皮は指先で摘むとわずかに沈み、噛むともちっとした弾力を返す。片面には香ばしい焼き色がつき、音まで美味しい“パリ”の瞬間がある。中の餡は、豚肉をベースにニラやキャベツをしっかり混ぜ込み、下味をきっちり効かせたタイプ。タレに頼らずとも成立する完成度だが、この店ならではの食べ方が、酢橘と塩。酢橘の酸が肉の甘味を際立たせ、塩が全体をシャープにまとめる。しっかり味の餡に、このミニマルな組み合わせが絶妙に映える。
つまみの一品も見逃せない。「変なやっこ」と名付けられたその皿の正体は、なんとチーズ。見た目はまるで冷奴だが、箸を入れた瞬間に広がるのは乳の香りと塩気。鰹節、葱、生姜、醤油という王道の薬味をまといながら、舌に残る余韻は完全に洋の風。豆腐のようで豆腐でない、この“だまし絵”のような一皿に、思わず笑ってしまう。餃子の合間に挟めば、チーズのコクが酸味と香ばしさをやわらかく受け止め、食卓に新たなリズムを生み出す。
お通しの「三つ葉の胡麻和え」と「野菜スティック」もいい。どちらも素朴で、味の輪郭がはっきりしている。強い餃子の味を支える、控えめだけど確かな脇役たちだ。
『餃子の店... More
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【餃子のお店もも】
大阪・昭和町。路地に灯る黄色いテント、その下に小さな暖簾を掲げる『餃子の店 もも』。創業は2004年と、年数でいえばまだ20年にも満たないが、店構えには不思議な“老舗の風格”が漂う。派手さはなくとも、積み重ねた時間の厚みを感じさせる空気感。暖簾のくぐり方ひとつにも、地元客のリズムが染みついている。ここには、昭和町という街のゆるやかな時間が流れている。
看板の「餃子」は、まさにその象徴。ひとつひとつが小ぶりで、つまみのように軽やか。柔らかな皮は指先で摘むとわずかに沈み、噛むともちっとした弾力を返す。片面には香ばしい焼き色がつき、音まで美味しい“パリ”の瞬間がある。中の餡は、豚肉をベースにニラやキャベツをしっかり混ぜ込み、下味をきっちり効かせたタイプ。タレに頼らずとも成立する完成度だが、この店ならではの食べ方が、酢橘と塩。酢橘の酸が肉の甘味を際立たせ、塩が全体をシャープにまとめる。しっかり味の餡に、このミニマルな組み合わせが絶妙に映える。
つまみの一品も見逃せない。「変なやっこ」と名付けられたその皿の正体は、なんとチーズ。見た目はまるで冷奴だが、箸を入れた瞬間に広がるのは乳の香りと塩気。鰹節、葱、生姜、醤油という王道の薬味をまといながら、舌に残る余韻は完全に洋の風。豆腐のようで豆腐でない、この“だまし絵”のような一皿に、思わず笑ってしまう。餃子の合間に挟めば、チーズのコクが酸味と香ばしさをやわらかく受け止め、食卓に新たなリズムを生み出す。
お通しの「三つ葉の胡麻和え」と「野菜スティック」もいい。どちらも素朴で、味の輪郭がはっきりしている。強い餃子の味を支える、控えめだけど確かな脇役たちだ。
『餃子の店 もも』。小ぶりな餃子をひとつ頬張れば、焼きの香ばしさと餡の旨味が口いっぱいに広がる。気取らず、肩の力を抜いて楽しめるのに、どこか芯の通った味。酢橘と塩を添えるだけで、ぐっと景色が変わる。変なやっこをつまみに、ビールをひと口。気づけば餃子の皿が空になっている。そんな店だ。昭和町の夜に似合う、飾らないうまさ。ご馳走様でした。
#餃子のお店もも #餃子 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at こま田 at Komada (こま田)
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【こま田】
伊勢の古い町並みを歩くと、格子戸の向こうにぼんやりと灯る光。静けさを切り取ったようなその店構えに、思わず背筋が伸びる。
『こま田』
扉を開けた瞬間、空気が変わる。白木のカウンターが6席、磨かれた木目と包丁の音だけが響くその空間には、無駄なものが一切ない。店主・駒田権利氏は“あり輝の門下”として知られる職人。だが、その凄みは出自だけでは語れない。江戸前の技を継ぎながら、脂も酸も重ねすぎず、素材の持つクリアな味わいで勝負する。
最初に出るのは、握りの前の二皿。「蒸し鮑(茨城)」は、柔らかさの中にしっかりとした歯切れ。塩と肝の苦味が味を締め、香りがすっと抜ける。素材の持ち味だけで構成された一皿。続く「漬け」はユニークな三つの角切り。厚みの中に漬け地の香りが薄く残り、噛むたびに赤身の鉄分が立ち上がる。握りへの流れをつくるための一手。
ここから鮨が始まる。こま田の握りは、見た目に派手さはないが、どれも輪郭がくっきりしている。赤酢の酸がやや強めに立ち、ネタの塩分と酸味を支えるように、米の粒がわずかにほぐれる。握りの圧は軽いが、空気の含ませ方が正確で、口に入れた瞬間に一体となる。全体を通して、脂を生かしながらも、食後の軽さが際立つ。
「赤身」仲買は石司より。
「剣先烏賊」
「大トロ」
「春子鯛」鹿児島より。
「鰆」
「鱚」
「アラ」神奈川より
「縞鯵」高知より。
「小肌」
「車海老」地元鳥羽より。
「紫雲丹」
「巻物」漬け鮪をたっぷり。
「干瓢」
「玉子」
力でねじ伏せず、温度と塩のコントロールで仕上げる。江戸前の仕事を徹底的に理解したうえで、いまの時代に合う軽さへと導く。食べ終えたあと、身体が驚くほど軽い。けれど、味の輪郭ははっきりと残る。握りの正確さ、温度の設計、会話の間。そのすべてが無理なく繋がり、店全体がひとつの呼吸で動いているのだ。ご馳走様です。
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【こま田】
伊勢の古い町並みを歩くと、格子戸の向こうにぼんやりと灯る光。静けさを切り取ったようなその店構えに、思わず背筋が伸びる。
『こま田』
扉を開けた瞬間、空気が変わる。白木のカウンターが6席、磨かれた木目と包丁の音だけが響くその空間には、無駄なものが一切ない。店主・駒田権利氏は“あり輝の門下”として知られる職人。だが、その凄みは出自だけでは語れない。江戸前の技を継ぎながら、脂も酸も重ねすぎず、素材の持つクリアな味わいで勝負する。
最初に出るのは、握りの前の二皿。「蒸し鮑(茨城)」は、柔らかさの中にしっかりとした歯切れ。塩と肝の苦味が味を締め、香りがすっと抜ける。素材の持ち味だけで構成された一皿。続く「漬け」はユニークな三つの角切り。厚みの中に漬け地の香りが薄く残り、噛むたびに赤身の鉄分が立ち上がる。握りへの流れをつくるための一手。
ここから鮨が始まる。こま田の握りは、見た目に派手さはないが、どれも輪郭がくっきりしている。赤酢の酸がやや強めに立ち、ネタの塩分と酸味を支えるように、米の粒がわずかにほぐれる。握りの圧は軽いが、空気の含ませ方が正確で、口に入れた瞬間に一体となる。全体を通して、脂を生かしながらも、食後の軽さが際立つ。
「赤身」仲買は石司より。
「剣先烏賊」
「大トロ」
「春子鯛」鹿児島より。
「鰆」
「鱚」
「アラ」神奈川より
「縞鯵」高知より。
「小肌」
「車海老」地元鳥羽より。
「紫雲丹」
「巻物」漬け鮪をたっぷり。
「干瓢」
「玉子」
力でねじ伏せず、温度と塩のコントロールで仕上げる。江戸前の仕事を徹底的に理解したうえで、いまの時代に合う軽さへと導く。食べ終えたあと、身体が驚くほど軽い。けれど、味の輪郭ははっきりと残る。握りの正確さ、温度の設計、会話の間。そのすべてが無理なく繋がり、店全体がひとつの呼吸で動いているのだ。ご馳走様です。
#こま田 #鮨 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at らーめん鉢ノ葦葉 at Ramen Hachinoashiha (らーめん 鉢ノ葦葉)
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らーめん鉢ノ葦葉
三重・四日市に名を轟かせるラーメンの名店『らーめん 鉢ノ葦葉』。2007年の創業以来、地元客から遠征組までを引き寄せる存在だ。この日は平日の午前11時。しかも雨。普通なら客足が鈍る時間帯だが、すでに店前には傘の列。開店直後に満席、二巡目を待つ人々の光景に、この店の人気の高さを思い知らされる。
看板メニューは「特製らー麺(塩)」
スープをひと口含むと、鶏の旨味が芯を作り、節や乾物の出汁が輪郭を描く。塩味は丸く、角のない優しさ。刺激ではなく余韻で魅せるタイプの塩清湯だ。黄金色に透き通るスープには香味油がわずかに浮かび、焦がし玉ねぎの香ばしさが静かな高揚を生む。飲み進めるごとに、身体が勝手にリズムを刻み出す。
麺は国産小麦を使った自家製のストレート細麺。啜るとつるり、噛めばパツンと歯切れがよい。スープの持ち上げが軽く、口に入れた瞬間の調和が見事だ。麺そのものの香りも上品で、素材の良さがしっかりと伝わる。
特筆すべきは「わんたん」。薄皮を噛み破ると、生姜がふわりと香り、肉汁が舌の上で弾ける。ジューシーでありながら、スープの穏やかさを壊さない設計。味の流れを変えるほどの存在感がありながら、調和を乱さない。主張と静謐が同居する“名脇役”だ。数種類の「チャーシュー」の食べ比べ、とろりとした黄身が嬉しい「味玉」と特製軍団に抜かりなし。
サイドの「味ごはん」も重要なアイテムの1つ。牛蒡の香りが立ち、甘辛い味付けが食欲を誘う。単体でも完成されているが、スープを少し垂らすと味が一気に整い、まるで一品料理のような調和が生まれる。卓上の黒胡椒を振れば塩清湯にエッジが立ち、最後のひと口まで飽きない。
スープの奥行き、豪華なトッピング、そして存在感のある麺。全部に抜かりがない。だから、この行列。ご馳走様でした。
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らーめん鉢ノ葦葉
三重・四日市に名を轟かせるラーメンの名店『らーめん 鉢ノ葦葉』。2007年の創業以来、地元客から遠征組までを引き寄せる存在だ。この日は平日の午前11時。しかも雨。普通なら客足が鈍る時間帯だが、すでに店前には傘の列。開店直後に満席、二巡目を待つ人々の光景に、この店の人気の高さを思い知らされる。
看板メニューは「特製らー麺(塩)」
スープをひと口含むと、鶏の旨味が芯を作り、節や乾物の出汁が輪郭を描く。塩味は丸く、角のない優しさ。刺激ではなく余韻で魅せるタイプの塩清湯だ。黄金色に透き通るスープには香味油がわずかに浮かび、焦がし玉ねぎの香ばしさが静かな高揚を生む。飲み進めるごとに、身体が勝手にリズムを刻み出す。
麺は国産小麦を使った自家製のストレート細麺。啜るとつるり、噛めばパツンと歯切れがよい。スープの持ち上げが軽く、口に入れた瞬間の調和が見事だ。麺そのものの香りも上品で、素材の良さがしっかりと伝わる。
特筆すべきは「わんたん」。薄皮を噛み破ると、生姜がふわりと香り、肉汁が舌の上で弾ける。ジューシーでありながら、スープの穏やかさを壊さない設計。味の流れを変えるほどの存在感がありながら、調和を乱さない。主張と静謐が同居する“名脇役”だ。数種類の「チャーシュー」の食べ比べ、とろりとした黄身が嬉しい「味玉」と特製軍団に抜かりなし。
サイドの「味ごはん」も重要なアイテムの1つ。牛蒡の香りが立ち、甘辛い味付けが食欲を誘う。単体でも完成されているが、スープを少し垂らすと味が一気に整い、まるで一品料理のような調和が生まれる。卓上の黒胡椒を振れば塩清湯にエッジが立ち、最後のひと口まで飽きない。
スープの奥行き、豪華なトッピング、そして存在感のある麺。全部に抜かりがない。だから、この行列。ご馳走様でした。
#らーめん鉢ノ葦葉 #らーめん Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at ホルモン コウ at Horumon Koh
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ホルモン コウ
荻窪駅北口の赤い螺旋階段をのぼった先にある『ホルモン コウ』。2022年8月の創業ながら、すでに肉好きたちの信頼を集めている。店主・徳山京介は、赤坂の名店「ホルモン かぶん」で研鑽を積んだ人物。そこで学んだ鮮度の大切さや部位ごとの魅力の引き出し方を、この店でもしっかりと受け継ぎ、自分なりの形で磨き上げているのだろう。
序盤は「浅漬けキムチ」。さっぱりとした酸味と甘みのバランスが絶妙で、これから続く肉料理への導入として申し分ない。続く「黒毛和牛の煮込み」は、辛味が効いたスープに牛肉の旨味が溶け込み、前菜ながら心に残る存在感を放つ。ここで一気に胃袋が温まり、焼肉の本編へと向かう。
「新鮮レバー」はこの店の象徴。ごま油と塩でシンプルに味わえば、濁りのないクリアな旨味とねっとりとした舌触りが際立つ。臭みがまったくないのは仕入れの確かさの証拠だ。火入れした「レバニラ炒め」では、ニラの香りがレバーの濃厚さを引き立て、炒め物としての完成度の高さを見せてくれる。
「上タン」は厚切りにして焼けば、外は香ばしく、中はジューシー。レモンを搾れば、一気に爽快感を纏った味わいに変貌する。「ツラミ」や「テール」といった通好みの部位も押さえ、どれも噛むほどに肉の個性をしっかりと感じさせる。
そして目玉の「ホルモンミックス5種盛り」。ヤン、上ミノ、シマチョウなど、部位ごとに食感も旨味もまるで違う。特に「ヤン」は脂の甘さと弾力の同居が見事で、噛み進めるたびに旨味があふれ出す。鉄板の上で焼ける音と香りだけでも酒が進んでしまう。
締めは「牛すじカレー」。スパイスの香りと牛すじの濃厚な旨味が絶妙に溶け合い、焼肉の余韻をやさしくまとめてくれる。重すぎず、それでいて確かな満足感を残す一杯。
『ホルモン... More
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ホルモン コウ
荻窪駅北口の赤い螺旋階段をのぼった先にある『ホルモン コウ』。2022年8月の創業ながら、すでに肉好きたちの信頼を集めている。店主・徳山京介は、赤坂の名店「ホルモン かぶん」で研鑽を積んだ人物。そこで学んだ鮮度の大切さや部位ごとの魅力の引き出し方を、この店でもしっかりと受け継ぎ、自分なりの形で磨き上げているのだろう。
序盤は「浅漬けキムチ」。さっぱりとした酸味と甘みのバランスが絶妙で、これから続く肉料理への導入として申し分ない。続く「黒毛和牛の煮込み」は、辛味が効いたスープに牛肉の旨味が溶け込み、前菜ながら心に残る存在感を放つ。ここで一気に胃袋が温まり、焼肉の本編へと向かう。
「新鮮レバー」はこの店の象徴。ごま油と塩でシンプルに味わえば、濁りのないクリアな旨味とねっとりとした舌触りが際立つ。臭みがまったくないのは仕入れの確かさの証拠だ。火入れした「レバニラ炒め」では、ニラの香りがレバーの濃厚さを引き立て、炒め物としての完成度の高さを見せてくれる。
「上タン」は厚切りにして焼けば、外は香ばしく、中はジューシー。レモンを搾れば、一気に爽快感を纏った味わいに変貌する。「ツラミ」や「テール」といった通好みの部位も押さえ、どれも噛むほどに肉の個性をしっかりと感じさせる。
そして目玉の「ホルモンミックス5種盛り」。ヤン、上ミノ、シマチョウなど、部位ごとに食感も旨味もまるで違う。特に「ヤン」は脂の甘さと弾力の同居が見事で、噛み進めるたびに旨味があふれ出す。鉄板の上で焼ける音と香りだけでも酒が進んでしまう。
締めは「牛すじカレー」。スパイスの香りと牛すじの濃厚な旨味が絶妙に溶け合い、焼肉の余韻をやさしくまとめてくれる。重すぎず、それでいて確かな満足感を残す一杯。
『ホルモン コウ』は、店主が修行で学んだことを大切にしながらも、自分のスタイルとして、気軽に旨いホルモンを味わえる場所へと昇華させた一軒。鮮度にこだわる哲学と、多彩な部位の個性を楽しませる工夫。荻窪でホルモンを語るなら、ぜひ訪れるべき場所だ。ご馳走様でした。
#ホルモンコウ #ホルモン Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 膳 八女や at Zen Yameya
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【膳 八女や】
福岡県八女市の住宅地に立つ、赤い鳥居が目印の『膳 八女や』。鳥居の奥に木造の建物があり、そこが店の入口になる。
この店を語るうえで欠かせないのが、ご主人のキャリアと、“おにぎり太郎”としての活動だ。北九州の寿司屋で魚と向き合い、京都の日本料理で出汁と構成を学ぶ。素材の扱い、温度、間の取り方。そのすべてを一度、正統な和食の文脈で身体に落とし込んだ上で、「お米の魅力を世界に伝える」という明確なテーマを掲げ、“おにぎり太郎”として活動を始めた。炊き立ての米を、その場で握る。その姿がSNSで話題になったのは必然で、ここで供される料理は、その活動の延長線上にある。
始まりは「煮えばな」。水を汲み、炊き上げたばかりの米を、そのまま味わわせる。粒の立ち、香り、口に含んだ瞬間の甘み。余計な操作を加えず、米の状態だけで勝負する。この一口で、主役が誰なのかは明確になる。
続く料理は、地産を含む確かな素材を丁寧に配置していく。「御椀」は唐津の鰆と新人参。枕崎の鰹節と昆布で引いた出汁は、輪郭がはっきりしており、特に鰹の風味が前に出る設計だ。その力強さが鰆の脂と重なり、余韻を引き締める。寿司屋で身につけた魚の扱いと、京都で磨いた引き算の感覚が、出汁の方向性に表れている。
お造りは「鯵」「アオリイカ」「馬刺し」の一皿。近場で屠畜したポニーの馬刺しは冷凍をかけず、昆布締めで仕上げる。赤身の張りと水分の質感がそのまま残り、魚と肉を同列に並べても違和感がない。素材の強度と温度感が揃っているからこその構成だ。住之江の巨大な「真牡蠣」は、下に米を忍ばせ、牡蠣出汁の餡で包み込む。噛み進めるほどに、牡蠣の旨味と米が一体となり、味の重心が自然と下がっていく。「炭素鶏の塩つくね」は白味噌のコクを添え、鶏の旨味をふくよかに広げる一皿。地産の素材を軸に、米へと意識を戻す役割を担っている。
「九絵と白菜のしゃぶしゃぶ」は、脂の甘みを前に出しすぎず、あくまで次の米へ戻るための流れを作る一皿。その合間に挟まれるのが、「春菊のお浸し」にミル貝を重ね、胡麻酢をかけた一品だ。春菊のほろ苦さ、ミル貝の張りのある食感、胡麻酢の酸とコクが口中をすっと切り替え、全体のリズムを整える。さらに続くのが、猪のしゃぶしゃぶ。野性味のある肉質だが、火を入れることで脂の甘みが際立ち、想像以上に滑らか。重さは残さず、むしろ旨味の余韻だけを残してくれる。
ここで、クライマックスでもある「おにぎり」。SNSで話題になった、あの握りの瞬間を、ここでは目の前で体験する。熱々のご飯を、そのままの温度で握る。空気を含ませ、余計な力をかけない。その所作には、寿司屋と日本料理、そして“おにぎり太郎”として積み重ねてきた時間が、そのまま表れている。かぶりついた瞬間に広がるのは、米そのものの力だ。
終盤は完全に“米を食わせるための時間”。この日の米は一升炊き。「卵かけご飯」「海苔の佃煮」「牛の時雨煮」「和牛のミンチ」「鰻」「烏賊ゲソのカレー」と、おかずが次々と並ぶが、どれも主役を奪わない。量に頼るのではなく、組み合わせで米の表情を変えていく構成だ。地産の食材を使いながら、最後まで米を飽きさせない。そのための装置として、すべてがきちんと機能している。
『膳... More
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【膳 八女や】
福岡県八女市の住宅地に立つ、赤い鳥居が目印の『膳 八女や』。鳥居の奥に木造の建物があり、そこが店の入口になる。
この店を語るうえで欠かせないのが、ご主人のキャリアと、“おにぎり太郎”としての活動だ。北九州の寿司屋で魚と向き合い、京都の日本料理で出汁と構成を学ぶ。素材の扱い、温度、間の取り方。そのすべてを一度、正統な和食の文脈で身体に落とし込んだ上で、「お米の魅力を世界に伝える」という明確なテーマを掲げ、“おにぎり太郎”として活動を始めた。炊き立ての米を、その場で握る。その姿がSNSで話題になったのは必然で、ここで供される料理は、その活動の延長線上にある。
始まりは「煮えばな」。水を汲み、炊き上げたばかりの米を、そのまま味わわせる。粒の立ち、香り、口に含んだ瞬間の甘み。余計な操作を加えず、米の状態だけで勝負する。この一口で、主役が誰なのかは明確になる。
続く料理は、地産を含む確かな素材を丁寧に配置していく。「御椀」は唐津の鰆と新人参。枕崎の鰹節と昆布で引いた出汁は、輪郭がはっきりしており、特に鰹の風味が前に出る設計だ。その力強さが鰆の脂と重なり、余韻を引き締める。寿司屋で身につけた魚の扱いと、京都で磨いた引き算の感覚が、出汁の方向性に表れている。
お造りは「鯵」「アオリイカ」「馬刺し」の一皿。近場で屠畜したポニーの馬刺しは冷凍をかけず、昆布締めで仕上げる。赤身の張りと水分の質感がそのまま残り、魚と肉を同列に並べても違和感がない。素材の強度と温度感が揃っているからこその構成だ。住之江の巨大な「真牡蠣」は、下に米を忍ばせ、牡蠣出汁の餡で包み込む。噛み進めるほどに、牡蠣の旨味と米が一体となり、味の重心が自然と下がっていく。「炭素鶏の塩つくね」は白味噌のコクを添え、鶏の旨味をふくよかに広げる一皿。地産の素材を軸に、米へと意識を戻す役割を担っている。
「九絵と白菜のしゃぶしゃぶ」は、脂の甘みを前に出しすぎず、あくまで次の米へ戻るための流れを作る一皿。その合間に挟まれるのが、「春菊のお浸し」にミル貝を重ね、胡麻酢をかけた一品だ。春菊のほろ苦さ、ミル貝の張りのある食感、胡麻酢の酸とコクが口中をすっと切り替え、全体のリズムを整える。さらに続くのが、猪のしゃぶしゃぶ。野性味のある肉質だが、火を入れることで脂の甘みが際立ち、想像以上に滑らか。重さは残さず、むしろ旨味の余韻だけを残してくれる。
ここで、クライマックスでもある「おにぎり」。SNSで話題になった、あの握りの瞬間を、ここでは目の前で体験する。熱々のご飯を、そのままの温度で握る。空気を含ませ、余計な力をかけない。その所作には、寿司屋と日本料理、そして“おにぎり太郎”として積み重ねてきた時間が、そのまま表れている。かぶりついた瞬間に広がるのは、米そのものの力だ。
終盤は完全に“米を食わせるための時間”。この日の米は一升炊き。「卵かけご飯」「海苔の佃煮」「牛の時雨煮」「和牛のミンチ」「鰻」「烏賊ゲソのカレー」と、おかずが次々と並ぶが、どれも主役を奪わない。量に頼るのではなく、組み合わせで米の表情を変えていく構成だ。地産の食材を使いながら、最後まで米を飽きさせない。そのための装置として、すべてがきちんと機能している。
『膳 八女や』は、流行の延長線上にある店ではない。米と向き合い続けてきた時間、寿司屋と日本料理で積み重ねた技術、地産の素材をどう配置するかという判断、そのすべてが一本の線でつながっている。おにぎりが象徴的なのは確かだが、真価はその前後にある構成力だ。煮えばなから始まり、一升の米を食べ切らせるまで、意識をぶらさない。ここは“映える店”ではなく、“米を食わせ切る店”。米が好きなら、一度体験しておくべきだ。
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 高田揚揚 at 高田揚揚(たかだのあげあげ)
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【高田揚揚】
大阪・難波千日前。ネオンの裏側、人ひとりがやっと通れるような細い路地を進むと、ふっと現れる光の看板。そこが『高田揚揚』。どこか「高田馬場」を連想させるような響きだが、舞台はれっきとした大阪の裏なんば。この地に数多くの立ち飲みを展開する“クラマ計画”の系列店で、ここもその系譜に連なる。気取らず、けれど手は抜かない。そんな哲学が、この店の油の香りに宿っている。
まずは「牛煮込み」。赤味噌仕立ての濃厚な香りが立ち上がり、口に含むと牛すじのコラーゲンがとろりと溶ける。甘辛の味わいに、刻み葱の清涼感がアクセント。こんにゃくのぷるぷるとした食感も楽しく、定番ながらしっかり仕事を感じる一品だ。七味を追加でもらえば、さらにつまみとしての機能を確かなものに。
「鶏しゅうまい」は、見るからに肉厚。ひと口頬張ると、鶏の旨味がぎゅっと詰まった肉汁がじんわりと溢れ出す。ふっくらと蒸し上がった生地に、ほどよい塩気が寄り添う。シンプルながら、噛むほどに真面目な味が顔を出す。
「しっとりささみフライ」は、この店の“揚揚”たる所以を感じさせる。中心はほんのりレアで、しっとりとした食感。衣は軽やかに立ち上がり、油の温度管理の巧さを物語る。惜しむらくは、この日の油がやや重く、香りに雑味が残ったこと。だが、その完成度には名折れなし。
そして締めにいただくのが、店の看板「高田の玉子カツサンド」。ふわりとした白パンの間に、サクッと揚がったカツととろりとした玉子の層。パンの甘み、衣の香ばしさ、卵のまろやかさが一口の中で自然に重なり合う。立ち飲みの一皿としては十分すぎる完成度だが、この夜は少しだけ油が重く、後味にわずかな滞りが残った。それでも、食べ終えた瞬間の満足感は確かなものだった。
『高田揚揚』は、立ち飲みの空気感の中に、確かな満足感を作る店だ。揚げの音とともにゆるやかに気分が上がっていく。油の香りに包まれながら、グラスを傾けるその瞬間が、この店のいちばんの魅力だ。ご馳走様でした。
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【高田揚揚】
大阪・難波千日前。ネオンの裏側、人ひとりがやっと通れるような細い路地を進むと、ふっと現れる光の看板。そこが『高田揚揚』。どこか「高田馬場」を連想させるような響きだが、舞台はれっきとした大阪の裏なんば。この地に数多くの立ち飲みを展開する“クラマ計画”の系列店で、ここもその系譜に連なる。気取らず、けれど手は抜かない。そんな哲学が、この店の油の香りに宿っている。
まずは「牛煮込み」。赤味噌仕立ての濃厚な香りが立ち上がり、口に含むと牛すじのコラーゲンがとろりと溶ける。甘辛の味わいに、刻み葱の清涼感がアクセント。こんにゃくのぷるぷるとした食感も楽しく、定番ながらしっかり仕事を感じる一品だ。七味を追加でもらえば、さらにつまみとしての機能を確かなものに。
「鶏しゅうまい」は、見るからに肉厚。ひと口頬張ると、鶏の旨味がぎゅっと詰まった肉汁がじんわりと溢れ出す。ふっくらと蒸し上がった生地に、ほどよい塩気が寄り添う。シンプルながら、噛むほどに真面目な味が顔を出す。
「しっとりささみフライ」は、この店の“揚揚”たる所以を感じさせる。中心はほんのりレアで、しっとりとした食感。衣は軽やかに立ち上がり、油の温度管理の巧さを物語る。惜しむらくは、この日の油がやや重く、香りに雑味が残ったこと。だが、その完成度には名折れなし。
そして締めにいただくのが、店の看板「高田の玉子カツサンド」。ふわりとした白パンの間に、サクッと揚がったカツととろりとした玉子の層。パンの甘み、衣の香ばしさ、卵のまろやかさが一口の中で自然に重なり合う。立ち飲みの一皿としては十分すぎる完成度だが、この夜は少しだけ油が重く、後味にわずかな滞りが残った。それでも、食べ終えた瞬間の満足感は確かなものだった。
『高田揚揚』は、立ち飲みの空気感の中に、確かな満足感を作る店だ。揚げの音とともにゆるやかに気分が上がっていく。油の香りに包まれながら、グラスを傾けるその瞬間が、この店のいちばんの魅力だ。ご馳走様でした。
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 餃子のゆうた at 餃子のゆうた
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【餃子のゆうた】
京阪・香里園の街角に現れる『餃子のゆうた』。2012年創業の餃子専門店で、オレンジの看板に猫のイラストが描かれた外観は、どこか親しみやすさを漂わせている。大きく「餃子」と書かれた提灯に導かれて暖簾をくぐれば、そこはまさに餃子一色の世界。
看板の「餃子」は一口サイズの小ぶりなスタイル。皮はしっかりと焼き目がついてパリッと香ばしく、中からはふんわりジューシーな餡が顔を出す。豚肉の旨味にキャベツの甘み、生姜の香りがすっと抜けていく。特徴はその軽快さで、ひとつ、またひとつと箸を伸ばしても重さを感じさせない。
ちなみに、ランチタイムには「餃子ランチ」が人気。餃子二人前にごはん、卵スープ、漬物がついて950円という構成。ごはんはやや固めの炊き加減で、餃子の油分をしっかりと受け止める相棒役。卵スープはふんわりとした卵に青ネギの香りがアクセント、口当たり優しく落ち着く味わい。漬物はきゅうりの醤油漬けで、甘辛さが箸休めにちょうどよく、全体のリズムを作り出す。
特別な仕掛けや派手さはない。ただ真っ直ぐに、餃子を楽しませることに全力を注ぐ店。それが『餃子のゆうた』の魅力。香里園で餃子を欲したなら、まずこの店を思い出してほしい。ご馳走様でした。
#餃子のゆうた... More
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【餃子のゆうた】
京阪・香里園の街角に現れる『餃子のゆうた』。2012年創業の餃子専門店で、オレンジの看板に猫のイラストが描かれた外観は、どこか親しみやすさを漂わせている。大きく「餃子」と書かれた提灯に導かれて暖簾をくぐれば、そこはまさに餃子一色の世界。
看板の「餃子」は一口サイズの小ぶりなスタイル。皮はしっかりと焼き目がついてパリッと香ばしく、中からはふんわりジューシーな餡が顔を出す。豚肉の旨味にキャベツの甘み、生姜の香りがすっと抜けていく。特徴はその軽快さで、ひとつ、またひとつと箸を伸ばしても重さを感じさせない。
ちなみに、ランチタイムには「餃子ランチ」が人気。餃子二人前にごはん、卵スープ、漬物がついて950円という構成。ごはんはやや固めの炊き加減で、餃子の油分をしっかりと受け止める相棒役。卵スープはふんわりとした卵に青ネギの香りがアクセント、口当たり優しく落ち着く味わい。漬物はきゅうりの醤油漬けで、甘辛さが箸休めにちょうどよく、全体のリズムを作り出す。
特別な仕掛けや派手さはない。ただ真っ直ぐに、餃子を楽しませることに全力を注ぐ店。それが『餃子のゆうた』の魅力。香里園で餃子を欲したなら、まずこの店を思い出してほしい。ご馳走様でした。
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 島之内一陽 at Shimanouchi Ichiyo (島之内 一陽)
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【島之内一陽】
大阪・島之内、細い路地裏にひっそりと灯りをともす『島之内 一陽』。創業は2002年、すでに20年以上の歴史を重ねる割烹である。アラカルト中心の柔軟なスタイルは、客のその日の気分と季節の移ろいを自然に結びつけるための仕掛け。堅苦しさのない、しかし芯の通った大人の空気がここには流れている。
興味深いのは、この店が名料理人を生む場所としても知られている点だ。北新地の名割烹「纐纈(こうけつ)」の欣樹氏も、この一陽で十年近く修業を重ねたという。つまり、この場所は料理人たちの基礎を磨く修業の場であり、同時に感性の芽吹く場所でもある。そんな背景を思うと、一皿ごとの静かな佇まいの中にも、確かな矜持と系譜の重みを感じずにはいられない。
口火を切るのはお通しの「野菜の白和え」。しっとりとした胡麻の香りに、ほのかな甘みと野菜の歯ざわり。人参やほうれん草の彩りが優しく舌を包み、菊花の苦味が余韻を締める。何気ないようでいて、塩加減と旨味のバランスが絶妙。最初の一口から、手仕事の温度が伝わる。
「自家製するめいかの沖漬け」は、二種の表情で登場。片方は柚子胡椒の爽やかさ、もう片方はイカ墨のコク。味の濃淡を巧みに対比させ、ひと口ごとに酒を誘う。ねっとりとした旨味の中に清涼感が走る、練りに練られたバランス。
「お造り盛り合わせ」は、炙りカツオの香ばしさ、アジの瑞々しい脂、マグロの赤身の力強さ。白身にはなめろう風の薬味がのり、味わいの層を深める。紫蘇の花が彩りを添え、皿全体に凛とした品格が漂う。
「アボカドとえびのわさびネーズサラダ」は、遊び心のある一品。まろやかさの奥にツンとした山葵が香り、えびの甘さとアボカドのコクが重なる。黒胡椒の刺激がアクセントになり、思わず箸が止まらない。
「三河うなぎ白焼」は、香ばしさの極み。わさびの辛味、海苔の香り、そしてふっくらとした身の甘さ。噛みしめるほどに脂が広がり、余韻は清らか。素材の力を信じ、余計な手を加えない潔さが光る。
秋の風物詩「さんま松茸はさみ焼」。秋刀魚の脂と松茸の香りが互いを引き立て、まるで秋の森を口に含むような芳醇さ。焼きの香ばしさが鼻を抜け、食欲の奥を刺激する。
「天然香茸天ぷら」は、衣を割る瞬間に立ちのぼる香りがまさに芳香の爆弾。野性的な香茸の旨味が舌の奥に響く。素材の力を一滴も逃さぬ揚げの技術、まさに職人芸。
締めの「ドライカレー温玉のせ」は、一陽らしい肩の力の抜けた一品。スパイスの香りが立ちながら、辛味よりも旨味に焦点を絞った構成。温玉を崩せば全体がまろやかにまとまり、和食の流れを崩さぬ見事な余韻。思わず無言で食べ進め、気づけば完食。
そして、この店をさらに心地よくするのが、接客の距離感。付かず離れず、程よい間合い。静けさを壊さず、必要な時にはさりげなく声が届く。まるで老舗旅館のような余裕がそこにある。二十年の歳月を重ね、数々の料理人を育て上げてきたお店。大阪の食文化を静かに支え続けるこの場所は、大人の隠れ家と称するに相応しい。ご馳走様でした。
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【島之内一陽】
大阪・島之内、細い路地裏にひっそりと灯りをともす『島之内 一陽』。創業は2002年、すでに20年以上の歴史を重ねる割烹である。アラカルト中心の柔軟なスタイルは、客のその日の気分と季節の移ろいを自然に結びつけるための仕掛け。堅苦しさのない、しかし芯の通った大人の空気がここには流れている。
興味深いのは、この店が名料理人を生む場所としても知られている点だ。北新地の名割烹「纐纈(こうけつ)」の欣樹氏も、この一陽で十年近く修業を重ねたという。つまり、この場所は料理人たちの基礎を磨く修業の場であり、同時に感性の芽吹く場所でもある。そんな背景を思うと、一皿ごとの静かな佇まいの中にも、確かな矜持と系譜の重みを感じずにはいられない。
口火を切るのはお通しの「野菜の白和え」。しっとりとした胡麻の香りに、ほのかな甘みと野菜の歯ざわり。人参やほうれん草の彩りが優しく舌を包み、菊花の苦味が余韻を締める。何気ないようでいて、塩加減と旨味のバランスが絶妙。最初の一口から、手仕事の温度が伝わる。
「自家製するめいかの沖漬け」は、二種の表情で登場。片方は柚子胡椒の爽やかさ、もう片方はイカ墨のコク。味の濃淡を巧みに対比させ、ひと口ごとに酒を誘う。ねっとりとした旨味の中に清涼感が走る、練りに練られたバランス。
「お造り盛り合わせ」は、炙りカツオの香ばしさ、アジの瑞々しい脂、マグロの赤身の力強さ。白身にはなめろう風の薬味がのり、味わいの層を深める。紫蘇の花が彩りを添え、皿全体に凛とした品格が漂う。
「アボカドとえびのわさびネーズサラダ」は、遊び心のある一品。まろやかさの奥にツンとした山葵が香り、えびの甘さとアボカドのコクが重なる。黒胡椒の刺激がアクセントになり、思わず箸が止まらない。
「三河うなぎ白焼」は、香ばしさの極み。わさびの辛味、海苔の香り、そしてふっくらとした身の甘さ。噛みしめるほどに脂が広がり、余韻は清らか。素材の力を信じ、余計な手を加えない潔さが光る。
秋の風物詩「さんま松茸はさみ焼」。秋刀魚の脂と松茸の香りが互いを引き立て、まるで秋の森を口に含むような芳醇さ。焼きの香ばしさが鼻を抜け、食欲の奥を刺激する。
「天然香茸天ぷら」は、衣を割る瞬間に立ちのぼる香りがまさに芳香の爆弾。野性的な香茸の旨味が舌の奥に響く。素材の力を一滴も逃さぬ揚げの技術、まさに職人芸。
締めの「ドライカレー温玉のせ」は、一陽らしい肩の力の抜けた一品。スパイスの香りが立ちながら、辛味よりも旨味に焦点を絞った構成。温玉を崩せば全体がまろやかにまとまり、和食の流れを崩さぬ見事な余韻。思わず無言で食べ進め、気づけば完食。
そして、この店をさらに心地よくするのが、接客の距離感。付かず離れず、程よい間合い。静けさを壊さず、必要な時にはさりげなく声が届く。まるで老舗旅館のような余裕がそこにある。二十年の歳月を重ね、数々の料理人を育て上げてきたお店。大阪の食文化を静かに支え続けるこの場所は、大人の隠れ家と称するに相応しい。ご馳走様でした。
#島之内一陽 #大阪府 Less
