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Restaurants
- ミトミ えもん added a new meal Dinner at リストランテ バル ポルテーニョ at Bar Porteno
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【リストランテ バル ポルテーニョ】
錦糸町の路地裏、雑居ビルの2階に潜む『リストランテ バル ポルテーニョ』。入り口には、スペインとアルゼンチンの国旗が仲良く並ぶ。今回いただいた料理は、基本的にスペイン料理の文脈に沿ったもの。ただし、この2つの旗は決して飾りではない。スペイン語圏として文化的なつながりを持ち、食卓にもどこか共通する陽気さと力強さがある。細かく分類するよりも、同じ言語と食文化の延長線上にある2つの国。入り口の景色だけで、この店が見ている世界が少し伝わってくる。
最初に登場した「エントラーダ」は、クロワッサン生地を使った小さなパンとオリーブのピンチョス。艶やかな焼き色の生地は軽く香ばしく、チーズの塩気も重なって食欲を刺激する。オリーブも素直に美味しい。こういう何気ない一口があると、ワインのスタートダッシュが決まる。
続く「イベリコ生ハムの切り落とし」は、白く透ける脂と赤身の濃淡が美しい。手でつまんで食べるのがスペイン流とのことで、そのまま口へ運べば、体温で脂がゆっくりほどけていく。塩気だけが前に出るのではなく、噛むほどに旨味が滲むタイプ。添えられたドライフルーツの甘味を挟むと、次の一枚へ自然と手が伸びる。体は正直なものだ。
「パン・コン・トマテ」は、目の前で仕上げるライブ感も楽しい。焼いたパンにニンニクを擦り付け、トマトを直接すり込み、エクストラバージンオリーブオイルと南スペインの塩を重ねていく。表面はカリッと香ばしく、中にはトマトの水分とオイルがじんわり浸透。ニンニクの刺激、トマトの酸味、塩の輪郭が順番に立ち上がる。作る工程まで含めて、スペインの食卓をそのまま切り取ったような一皿だ。
魚介の魅力を軽やかに見せるのが「セビーチェ」。帆立やタコなどの魚介に、紫玉ネギ、トマト、ライムを合わせ、ハーブの香りでまとめる。見た目は彩り豊かで、口にすると酸味が先行し、その後に魚介の甘味が追いかけてくる。厚みのある魚介とシャキシャキした野菜の食感の対比も心地よい。添えられたトウモロコシが、甘味と香ばしさを補うアクセントになっていた。
肉料理には「イベリコ豚ラックのアンダルシア風... More
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【リストランテ バル ポルテーニョ】
錦糸町の路地裏、雑居ビルの2階に潜む『リストランテ バル ポルテーニョ』。入り口には、スペインとアルゼンチンの国旗が仲良く並ぶ。今回いただいた料理は、基本的にスペイン料理の文脈に沿ったもの。ただし、この2つの旗は決して飾りではない。スペイン語圏として文化的なつながりを持ち、食卓にもどこか共通する陽気さと力強さがある。細かく分類するよりも、同じ言語と食文化の延長線上にある2つの国。入り口の景色だけで、この店が見ている世界が少し伝わってくる。
最初に登場した「エントラーダ」は、クロワッサン生地を使った小さなパンとオリーブのピンチョス。艶やかな焼き色の生地は軽く香ばしく、チーズの塩気も重なって食欲を刺激する。オリーブも素直に美味しい。こういう何気ない一口があると、ワインのスタートダッシュが決まる。
続く「イベリコ生ハムの切り落とし」は、白く透ける脂と赤身の濃淡が美しい。手でつまんで食べるのがスペイン流とのことで、そのまま口へ運べば、体温で脂がゆっくりほどけていく。塩気だけが前に出るのではなく、噛むほどに旨味が滲むタイプ。添えられたドライフルーツの甘味を挟むと、次の一枚へ自然と手が伸びる。体は正直なものだ。
「パン・コン・トマテ」は、目の前で仕上げるライブ感も楽しい。焼いたパンにニンニクを擦り付け、トマトを直接すり込み、エクストラバージンオリーブオイルと南スペインの塩を重ねていく。表面はカリッと香ばしく、中にはトマトの水分とオイルがじんわり浸透。ニンニクの刺激、トマトの酸味、塩の輪郭が順番に立ち上がる。作る工程まで含めて、スペインの食卓をそのまま切り取ったような一皿だ。
魚介の魅力を軽やかに見せるのが「セビーチェ」。帆立やタコなどの魚介に、紫玉ネギ、トマト、ライムを合わせ、ハーブの香りでまとめる。見た目は彩り豊かで、口にすると酸味が先行し、その後に魚介の甘味が追いかけてくる。厚みのある魚介とシャキシャキした野菜の食感の対比も心地よい。添えられたトウモロコシが、甘味と香ばしさを補うアクセントになっていた。
肉料理には「イベリコ豚ラックのアンダルシア風 チチャロン仕立て」。骨付きのラックを豪快に焼き上げ、スパイシーなハーブのパウダーをまとわせた一皿だ。表面には香ばしい焼き目が入り、内側には肉汁をしっかり残す。イベリコ豚らしい脂の甘味に、パウダーの刺激が重なり、単調にならない。付け合わせのズッキーニやニンジンのグリルも、肉の余韻を整える役割を果たしている。
そして、テーブルの主役は「チキンと魚介のパエージャ」。バルセロナスタイルとのことで、海老、ムール貝、アサリ、イカ、鶏肉、野菜が大きな鍋を彩る。見た目の華やかさに目を奪われるが、本質は米。魚介と鶏の旨味を吸い込んだ米は濃厚で、鍋肌に近づくほど香ばしさが増していく。魚介だけに寄せず、鶏肉を加えることで味に厚みを作る構成が良い。ここに「チミチュリソース」を添えれば、ハーブの青さと穏やかな酸味が入り、「アリオリソース」を合わせれば、ニンニクのコクが加わる。同じ鍋を食べ進めながら味の景色を変えられるのが楽しい。
最後は「自家製クレーマカタラーナ」。薄くキャラメリゼされた表面をスプーンで割ると、パリッとした音の後に滑らかなクリームが現れる。香ばしい苦味と優しい甘味の組み合わせには安心感があり、苺とクリームの添え方も王道。食後の着地としてきれいにまとまっている。
『リストランテ バル ポルテーニョ』の魅力は、スペイン料理の定番を丁寧に楽しませてくれること。目の前で完成する「パン・コン・トマテ」から、鍋ごと楽しむ「チキンと魚介のパエージャ」まで、食事の時間そのものを盛り上げる工夫がある。錦糸町の路地裏で、ワインを片手にスペイン語圏の食卓を旅する。肩肘を張らずに楽しめる、使い勝手の良い一軒。ご馳走様でした。
#リストランテバルポルテーニョ #錦糸町 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 焼肉 三日月 at Yakiniku Mikazuki (焼肉 三日月)
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【焼肉 三日月】
奈良・橿原で焼肉好きを惹きつける『焼肉 三日月』。入口の暖簾に記された言葉は、たん、はらみ、ホルモン。何を食べてほしいのかは、暖簾をくぐる前からすでに明快だ。奈良の肉卸業と焼肉の老舗で8年の修業を積んだ店主が立ち上げた一軒で、現在は大阪にも店舗を展開。その原点となる店には、肉の目利きと部位ごとの魅力を引き出す技術がしっかり息づいている。
まずは「ハラミユッケ」。卵黄をまとった艶やかなビジュアルからして食欲を刺激する。ハラミらしい肉感を残しつつ、タレの甘辛さと卵黄のコクが一体に。これはうまい。焼肉の序盤から、ぐっとテンションを上げてくれる。
名物の「ネギ塩たん」は、タンが見えなくなるほど盛られたネギが圧巻。蓋をして蒸らすことでネギは徐々に甘みを増していくが、それだけに辛味が抜けるまでどこまで耐えられるかの戦いでもある。笑 肉汁を吸ったネギとタンを一緒に頬張れば、その人気にも納得だ。
そして、やっぱりホルモンがいい。
「タンゲタ」はニンニク醤油で食べる力強い旨味、「ホイシ」は生姜たっぷりのタレが脂と食感を引き立てる。「シビレ」は味噌のコクをまとい、胸腺らしいクリーミーな余韻が残る。そして「テッチャン」も秀逸で、脂の甘み、皮目の食感、タレの絡み方がよく、噛むほどに旨味が増幅する。希少部位だけでなく定番ホルモンまでしっかり美味いところに、店の実力が見えてくる。暖簾に掲げたホルモンの文字は伊達じゃない。一方で「上ロース」は脂の押し出しが強め。好みは分かれるところだが、正肉以上にホルモンの存在感が際立つ構成だ。
締めも充実。「焼肉屋の焼き飯」は牛脂の香ばしさをまとった背徳の一皿。「ユッケジャンスープ」は辛味と旨味のバランスがよく、卵のまろやかさが全体を包み込む。「盛岡冷麺」は透明感あるスープと麺の喉越しで、焼肉の余韻をすっきり着地させる。
暖簾に掲げた言葉を裏切らない焼肉店である。特にホルモンの完成度は高く、希少部位を並べるだけでなく、それぞれの個性に合わせた味付けや仕事が印象に残る。奈良で焼肉、中でもホルモンを楽しむなら覚えておきたい一軒。店名の三日月は、満月へ向かう途中の月。大阪へと店を広げた今も、その原点はここ橿原にある。成長を続ける人気店の原風景を見た気がした。ご馳走様でした。
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【焼肉 三日月】
奈良・橿原で焼肉好きを惹きつける『焼肉 三日月』。入口の暖簾に記された言葉は、たん、はらみ、ホルモン。何を食べてほしいのかは、暖簾をくぐる前からすでに明快だ。奈良の肉卸業と焼肉の老舗で8年の修業を積んだ店主が立ち上げた一軒で、現在は大阪にも店舗を展開。その原点となる店には、肉の目利きと部位ごとの魅力を引き出す技術がしっかり息づいている。
まずは「ハラミユッケ」。卵黄をまとった艶やかなビジュアルからして食欲を刺激する。ハラミらしい肉感を残しつつ、タレの甘辛さと卵黄のコクが一体に。これはうまい。焼肉の序盤から、ぐっとテンションを上げてくれる。
名物の「ネギ塩たん」は、タンが見えなくなるほど盛られたネギが圧巻。蓋をして蒸らすことでネギは徐々に甘みを増していくが、それだけに辛味が抜けるまでどこまで耐えられるかの戦いでもある。笑 肉汁を吸ったネギとタンを一緒に頬張れば、その人気にも納得だ。
そして、やっぱりホルモンがいい。
「タンゲタ」はニンニク醤油で食べる力強い旨味、「ホイシ」は生姜たっぷりのタレが脂と食感を引き立てる。「シビレ」は味噌のコクをまとい、胸腺らしいクリーミーな余韻が残る。そして「テッチャン」も秀逸で、脂の甘み、皮目の食感、タレの絡み方がよく、噛むほどに旨味が増幅する。希少部位だけでなく定番ホルモンまでしっかり美味いところに、店の実力が見えてくる。暖簾に掲げたホルモンの文字は伊達じゃない。一方で「上ロース」は脂の押し出しが強め。好みは分かれるところだが、正肉以上にホルモンの存在感が際立つ構成だ。
締めも充実。「焼肉屋の焼き飯」は牛脂の香ばしさをまとった背徳の一皿。「ユッケジャンスープ」は辛味と旨味のバランスがよく、卵のまろやかさが全体を包み込む。「盛岡冷麺」は透明感あるスープと麺の喉越しで、焼肉の余韻をすっきり着地させる。
暖簾に掲げた言葉を裏切らない焼肉店である。特にホルモンの完成度は高く、希少部位を並べるだけでなく、それぞれの個性に合わせた味付けや仕事が印象に残る。奈良で焼肉、中でもホルモンを楽しむなら覚えておきたい一軒。店名の三日月は、満月へ向かう途中の月。大阪へと店を広げた今も、その原点はここ橿原にある。成長を続ける人気店の原風景を見た気がした。ご馳走様でした。
#焼肉三日月 #奈良 Less
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【#肉といえば松田 奈良本店】
古都・奈良で、肉を通して土地を味わう。大和八木駅前に構える『#肉といえば松田 奈良本店』は、奈良が誇る銘柄牛「大和牛」を軸にした和牛割烹。2022年11月に現在の場所へ移転リニューアル。黒を基調にしたカウンター、入口に据えられた盆栽、目の前に並ぶ熟成肉の塊。その空間には、単なる焼肉店でもステーキ店でもない、肉の劇場のような高揚感が漂う。
店を率いるのは奈良県出身の増田真志氏。23歳で料理人の道へ進み、イタリアンを中心に腕を磨き、31歳で県内にステーキレストランを開業。その後、焼肉店で精肉やホルモンまで牛肉全般を学び、自身の集大成としてこの店を立ち上げた。「肉といえば」と言い切る直球の店名には、肉の店として一番に選ばれる存在でありたいという覚悟が滲む。
主役はもちろん「大和牛」。この日はタンに始まり、近江牛タン、約3週間のカビ付け熟成を施したサーロイン、骨付き熟成肉まで登場。焼く、揚げる、寝かせる、出汁と合わせる。和牛の甘い脂をただ押し出すのではなく、奈良漬け、三輪そうめん、吉野の卵、大和野菜などを合わせ、奈良で食べる意味をコース全体に忍ばせているのが面白い。
「ロースのタルタル」は長芋とじゅんさいを合わせ、ねっとりとした食感の中に肉の旨味を閉じ込める。「ランプのローストビーフ」は地元ズッキーニと大葉のソースを添え、肉の甘みを爽やかに引き立てる。そして最後に印象をさらったのが、近江牛の「タン刺身」。昆布塩で輪郭を整えたタンは、噛むほどに旨味が立ち上がり、脂の甘みまで驚くほどクリア。この一皿だけでも、序盤の満足度をぐっと引き上げてくれた。
「ザブトンの蒲焼き」は、甘辛いタレを纏わせた肉版うな重のような一皿。香ばしく焼き上げた表面の先�... More
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【#肉といえば松田 奈良本店】
古都・奈良で、肉を通して土地を味わう。大和八木駅前に構える『#肉といえば松田 奈良本店』は、奈良が誇る銘柄牛「大和牛」を軸にした和牛割烹。2022年11月に現在の場所へ移転リニューアル。黒を基調にしたカウンター、入口に据えられた盆栽、目の前に並ぶ熟成肉の塊。その空間には、単なる焼肉店でもステーキ店でもない、肉の劇場のような高揚感が漂う。
店を率いるのは奈良県出身の増田真志氏。23歳で料理人の道へ進み、イタリアンを中心に腕を磨き、31歳で県内にステーキレストランを開業。その後、焼肉店で精肉やホルモンまで牛肉全般を学び、自身の集大成としてこの店を立ち上げた。「肉といえば」と言い切る直球の店名には、肉の店として一番に選ばれる存在でありたいという覚悟が滲む。
主役はもちろん「大和牛」。この日はタンに始まり、近江牛タン、約3週間のカビ付け熟成を施したサーロイン、骨付き熟成肉まで登場。焼く、揚げる、寝かせる、出汁と合わせる。和牛の甘い脂をただ押し出すのではなく、奈良漬け、三輪そうめん、吉野の卵、大和野菜などを合わせ、奈良で食べる意味をコース全体に忍ばせているのが面白い。
「ロースのタルタル」は長芋とじゅんさいを合わせ、ねっとりとした食感の中に肉の旨味を閉じ込める。「ランプのローストビーフ」は地元ズッキーニと大葉のソースを添え、肉の甘みを爽やかに引き立てる。そして最後に印象をさらったのが、近江牛の「タン刺身」。昆布塩で輪郭を整えたタンは、噛むほどに旨味が立ち上がり、脂の甘みまで驚くほどクリア。この一皿だけでも、序盤の満足度をぐっと引き上げてくれた。
「ザブトンの蒲焼き」は、甘辛いタレを纏わせた肉版うな重のような一皿。香ばしく焼き上げた表面の先� Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 鍋匠とり井 at Nabeshou Torii
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【鍋匠とり井】
大阪・福島に誕生した、鶏鍋の新しい居場所『鍋匠とり井』。背景にあるのは、予約困難店として知られる焼鳥の名店「鳥匠いし井」の存在で、焼鳥ではなく「水炊き」と「しゃぶしゃぶ」という鍋料理を主役に据えた新業態だ。古民家の情緒を残した空間に暖簾を掲げ、名店の鶏料理を鍋を囲む親しみやすさの中で楽しませる。この距離感が、なんとも魅力的だ。
鍋という料理は、素材、火入れ、スープ、タレの個性がそのまま味に表れる料理。ここではその大切な火入れをスタッフが担ってくれるのが嬉しい。食べ頃を見極めながら、鶏肉、つくね、キャベツ、えのき、豆腐などを順に仕上げていく「水炊き」は、白濁したスープを軸に鍋の中で一体感を作っていく構成。ひと口ごとに鶏の旨味がゆっくり深まり、野菜の甘みがそこに溶け込んでいく。鶏の脂を野菜が受け止め、野菜の水分をスープが抱き込む。任せる安心感も含めて、鍋の楽しさがよくできている。
一方の「しゃぶしゃぶ」は、鶏そのものの食感と香りをよりダイレクトに楽しむ方向性。美しく薄く切り付けられた鶏をさっと潜らせることで、身はしっとり、噛めば旨味がじんわり立ち上がる。ここで重要になるのがタレの存在だ。ポン酢は酸味で鶏の輪郭を立たせ、胡麻ダレは脂の甘みを丸く包み込む。酸味とコクの使い分けで、同じ鶏でもまるで表情が変わる。鍋の主役は鶏、しかし味を完成させるのはタレ。ここに、この店の楽しさがある。
野菜の存在もいい。「レタス」は火が入ることで甘みを増し、くたっとしながらも軽やかな食感を残す。「豆苗」は青い香りで後味を整え、「エリンギ」は瑞々しさと歯切れの良さでリズムを作る。鶏の旨味が続く中で、こうした野菜たちがいい休符になる。休んでいるつもりが、また鶏に戻りたくなる。体は正直なものだ。
そして、もう一つの主役が名物「石若鶏の半身揚げ」。これは鍋の合間、いや、鍋と並べて必ず押さえたい一品だ。まず丸ごと出てくる姿がいい。黄金色に揚がった皮は見るからに香ばしく、切り分けられて器に盛られると、手羽、もも、むね、それぞれの部位の魅力が立ち上がる。外はカリッと、内側はじゅわり。鶏の旨味をスープでほどくのが「水炊き」なら、香ばしさで爆発させるのが「石若鶏の半身揚げ」。この対比が実にいい。鍋屋に来たつもりが、揚げ物で心を掴まれる。
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【鍋匠とり井】
大阪・福島に誕生した、鶏鍋の新しい居場所『鍋匠とり井』。背景にあるのは、予約困難店として知られる焼鳥の名店「鳥匠いし井」の存在で、焼鳥ではなく「水炊き」と「しゃぶしゃぶ」という鍋料理を主役に据えた新業態だ。古民家の情緒を残した空間に暖簾を掲げ、名店の鶏料理を鍋を囲む親しみやすさの中で楽しませる。この距離感が、なんとも魅力的だ。
鍋という料理は、素材、火入れ、スープ、タレの個性がそのまま味に表れる料理。ここではその大切な火入れをスタッフが担ってくれるのが嬉しい。食べ頃を見極めながら、鶏肉、つくね、キャベツ、えのき、豆腐などを順に仕上げていく「水炊き」は、白濁したスープを軸に鍋の中で一体感を作っていく構成。ひと口ごとに鶏の旨味がゆっくり深まり、野菜の甘みがそこに溶け込んでいく。鶏の脂を野菜が受け止め、野菜の水分をスープが抱き込む。任せる安心感も含めて、鍋の楽しさがよくできている。
一方の「しゃぶしゃぶ」は、鶏そのものの食感と香りをよりダイレクトに楽しむ方向性。美しく薄く切り付けられた鶏をさっと潜らせることで、身はしっとり、噛めば旨味がじんわり立ち上がる。ここで重要になるのがタレの存在だ。ポン酢は酸味で鶏の輪郭を立たせ、胡麻ダレは脂の甘みを丸く包み込む。酸味とコクの使い分けで、同じ鶏でもまるで表情が変わる。鍋の主役は鶏、しかし味を完成させるのはタレ。ここに、この店の楽しさがある。
野菜の存在もいい。「レタス」は火が入ることで甘みを増し、くたっとしながらも軽やかな食感を残す。「豆苗」は青い香りで後味を整え、「エリンギ」は瑞々しさと歯切れの良さでリズムを作る。鶏の旨味が続く中で、こうした野菜たちがいい休符になる。休んでいるつもりが、また鶏に戻りたくなる。体は正直なものだ。
そして、もう一つの主役が名物「石若鶏の半身揚げ」。これは鍋の合間、いや、鍋と並べて必ず押さえたい一品だ。まず丸ごと出てくる姿がいい。黄金色に揚がった皮は見るからに香ばしく、切り分けられて器に盛られると、手羽、もも、むね、それぞれの部位の魅力が立ち上がる。外はカリッと、内側はじゅわり。鶏の旨味をスープでほどくのが「水炊き」なら、香ばしさで爆発させるのが「石若鶏の半身揚げ」。この対比が実にいい。鍋屋に来たつもりが、揚げ物で心を掴まれる。
#鍋匠とり井 #大阪 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 麺処 有彩 at Mendokoro Arisa (麺処 有彩)
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【麺処 有彩】
西川口駅西口から徒歩2分。路地に掲げられた「自家製麺」の看板が、この店の個性を端的に物語る。2015年2月18日に創業した『麺処 有彩』。店主は、都内を中心にいくつもの人気店で経験を重ね、自家製麺を軸に一杯を組み立ててきた。店名の冠に「麺処」と掲げるところにも、麺を主役として磨き続ける姿勢が表れている。
今回いただいたのは「昆布水つけ麺(醤油)」。
昆布水に浸かった麺の上には、色合いの異なる二種のチャーシューと海苔。まずはつけ汁へ向かわず、麺に塩を少し振っていただく。これが、うまい。艶やかな麺肌を昆布水がぬるりと包み込み、啜り口はまるでそうめんのように軽やか。それでいて噛めば、小麦の風味がきちんと立ち上がる。見た目は端正、口当たりは滑らか、余韻には昆布の旨味がじんわり。つけ汁なしでも箸が進んでしまう。体は正直なものだ。
続いて、醤油のつけ汁へ。葱と三つ葉が浮かぶ澄んだ表情とは裏腹に、醤油の輪郭はかなり力強い。濃厚な塩味とコクが舌へ一気に押し寄せる。だからこそ、麺をどっぷり沈める必要はない。江戸前蕎麦のように、先端をちょこんと浸す程度がちょうどいい。昆布水のコーティング力が強いため、わずかなつけ汁でも味は十分に乗る。昆布の丸みと醤油の鋭さが麺の上で重なり、軽快な啜り心地の中に明確なコントラストが生まれる。
そして最後は「スープ割り」へ。麺を食べ終えた後のつけ汁に出汁の香りが加わり、力強かった醤油の輪郭も少し柔らかくなる。最後まで味の変化を楽しめる。
近年すっかり定番となった昆布水つけ麺だが、『麺処... More
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【麺処 有彩】
西川口駅西口から徒歩2分。路地に掲げられた「自家製麺」の看板が、この店の個性を端的に物語る。2015年2月18日に創業した『麺処 有彩』。店主は、都内を中心にいくつもの人気店で経験を重ね、自家製麺を軸に一杯を組み立ててきた。店名の冠に「麺処」と掲げるところにも、麺を主役として磨き続ける姿勢が表れている。
今回いただいたのは「昆布水つけ麺(醤油)」。
昆布水に浸かった麺の上には、色合いの異なる二種のチャーシューと海苔。まずはつけ汁へ向かわず、麺に塩を少し振っていただく。これが、うまい。艶やかな麺肌を昆布水がぬるりと包み込み、啜り口はまるでそうめんのように軽やか。それでいて噛めば、小麦の風味がきちんと立ち上がる。見た目は端正、口当たりは滑らか、余韻には昆布の旨味がじんわり。つけ汁なしでも箸が進んでしまう。体は正直なものだ。
続いて、醤油のつけ汁へ。葱と三つ葉が浮かぶ澄んだ表情とは裏腹に、醤油の輪郭はかなり力強い。濃厚な塩味とコクが舌へ一気に押し寄せる。だからこそ、麺をどっぷり沈める必要はない。江戸前蕎麦のように、先端をちょこんと浸す程度がちょうどいい。昆布水のコーティング力が強いため、わずかなつけ汁でも味は十分に乗る。昆布の丸みと醤油の鋭さが麺の上で重なり、軽快な啜り心地の中に明確なコントラストが生まれる。
そして最後は「スープ割り」へ。麺を食べ終えた後のつけ汁に出汁の香りが加わり、力強かった醤油の輪郭も少し柔らかくなる。最後まで味の変化を楽しめる。
近年すっかり定番となった昆布水つけ麺だが、『麺処 有彩』の一杯は、その魅力を麺の啜り心地と醤油の使い方で明快に伝えてくる。つけ汁へ豪快に沈めるのではなく、粋にちょこんと。ラーメンでありながら、どこか江戸前蕎麦のような楽しさがある。次は塩のつけ汁でも、この自家製麺の表情を確かめてみたい。ご馳走様でした。
#麺処有彩 #西川口 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at toi印食店 at toi Inshokuten
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【toi印食店】
奈良・きたまちエリアに店を構える『toi印食店』。店名の「toi」は「trip of imagination」の頭文字。インドへの“空想の旅”をテーマに、各地の伝統料理を一枚の皿に描き出す。中央にはジャスミンライス、その周囲にはカレーや副菜が並ぶ。単体で味わい、少しずつ混ぜながら自分だけの着地点を探していく。この自由さこそが、ミールスの醍醐味だ。
注文したのは「カレー全種盛り」。「チェティナード・チキン・クランブ」は、さらりとした質感に焙煎スパイスの香ばしさと鮮烈な辛味。シャバシャバ系だからこそ、ジャスミンライスへの浸透力も抜群だ。「マライ・プロウン」は、海老の濃厚な旨味とココナッツミルクのコクが好相性。まろやかな口当たりの奥から刺激的なスパイスが顔を出す。甲殻類の甘味、ココナッツの香り、辛味の輪郭。そのバランスが実にいい。
中でも心を掴まれたのが「マトン・ド・ピアザ」。柔らかく煮込まれたマトンに、炒めた玉葱の甘味と追い玉葱の香ばしさが重なる。肉の野性味を消すのではなく、正面から受け止めるような力強い味わいだ。一方、「サンバル」はタマリンドの酸味で全体を穏やかにつなぐ存在。副菜を合わせることで、一口ごとに味の景色が変わっていく。
辛味、酸味、甘味、香り、食感。それぞれが主張しながら、混ぜるほどに一枚の皿として完成していく。気が付けばジャスミンライスまできれいに消えていた。奈良までわざわざ足を運びたくなる、記憶に残る“空想の旅”。ご馳走様でした。
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【toi印食店】
奈良・きたまちエリアに店を構える『toi印食店』。店名の「toi」は「trip of imagination」の頭文字。インドへの“空想の旅”をテーマに、各地の伝統料理を一枚の皿に描き出す。中央にはジャスミンライス、その周囲にはカレーや副菜が並ぶ。単体で味わい、少しずつ混ぜながら自分だけの着地点を探していく。この自由さこそが、ミールスの醍醐味だ。
注文したのは「カレー全種盛り」。「チェティナード・チキン・クランブ」は、さらりとした質感に焙煎スパイスの香ばしさと鮮烈な辛味。シャバシャバ系だからこそ、ジャスミンライスへの浸透力も抜群だ。「マライ・プロウン」は、海老の濃厚な旨味とココナッツミルクのコクが好相性。まろやかな口当たりの奥から刺激的なスパイスが顔を出す。甲殻類の甘味、ココナッツの香り、辛味の輪郭。そのバランスが実にいい。
中でも心を掴まれたのが「マトン・ド・ピアザ」。柔らかく煮込まれたマトンに、炒めた玉葱の甘味と追い玉葱の香ばしさが重なる。肉の野性味を消すのではなく、正面から受け止めるような力強い味わいだ。一方、「サンバル」はタマリンドの酸味で全体を穏やかにつなぐ存在。副菜を合わせることで、一口ごとに味の景色が変わっていく。
辛味、酸味、甘味、香り、食感。それぞれが主張しながら、混ぜるほどに一枚の皿として完成していく。気が付けばジャスミンライスまできれいに消えていた。奈良までわざわざ足を運びたくなる、記憶に残る“空想の旅”。ご馳走様でした。
#奈良 #toi印食店 Less
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【乃きや】
広島駅から歩いて数分、広電の的場町電停の目の前。昼時には白い暖簾の先へ向かって自然と行列が伸びる。うどんがなくなって営業終了、なんて日も珍しくない。そんな人気店が、手打ち讃岐うどんの『乃きや』だ。並んでいる間、店先から見える製麺室をずっと眺めていた。麺を生み出す場所が目の前にあるだけで、これから口にする一杯への期待値は自然と高まっていく。
この店を象徴する言葉は、ひたすらに「うどん」。全粒粉をブレンドした麺は、表面が艶やかで、啜ればつるりと滑らか。それでいて噛んだ瞬間には、中心からぐっと押し返しながら、のびるような独特のコシがある。ただ硬いのではない。もちっとした弾力と、高密度な食感。その重なりが、讃岐うどんらしい力強さを生み出している。手打ちならではの微妙なねじれや太さの揺らぎも面白く、つゆや卵をしっかりと抱え込む。極論、うどんがめちゃくちゃレベルが高いから、きっとどのアウトプットも成立するだろう。
まずは「釜玉明太」。熱々の麺に卵が絡み、表面をねっとりとコーティング。そこへ明太子の塩気と辛味、刻み海苔の磯の香りが重なっていく。見た目からして濃厚だが、主役はあくまでうどん。卵のまろやかさをまとっても、小麦の風味とのびるようなコシは埋もれない。明太子を少しずつ崩していけば、味の輪郭は徐々に鮮明に。釜玉×明太子という王道の組み合わせだが、麺そのものが強いと、王道はここまで頼もしくなる。
続いて「とり天肉ぶっかけ」。冷たく締められたうどんの上には、揚げたての鶏天と牛肉が堂々と鎮座。レモンを絞れば、肉と衣の油を爽やかな酸味が切り取っていく。釜玉では包容力を見せたうどんが、今度は真正面からコシをぶつけてくる。口に入れた瞬間から、むちっとした弾力が全開。噛めば押し返し、さらにのびる。この粘り強いコシが実に心地いい。それでいて、啜ったときの滑らかさは失われない。鶏天は衣が軽やかに弾け、中はジューシー。牛肉の甘辛い味付けは、ぶっかけつゆへコクを重ねる。具材はしっかり存在感があるのに、食べ終わった後に最も鮮明に残るのは、やはりうどんだった。
温かい麺では、もちっとした柔らかさと小麦の甘さ。冷たい麺では、圧倒的な弾力とのびるようなコシ。温度によって表情は変わっても、その中心には一貫してうどんの生命力がある。行列に並んででも食べたい理由は、驚くほど単純明快。とにかく、うどんが美味いのだ。広島で讃岐うどんを欲したら、的場町へ。ご馳走様でした。
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【乃きや】
広島駅から歩いて数分、広電の的場町電停の目の前。昼時には白い暖簾の先へ向かって自然と行列が伸びる。うどんがなくなって営業終了、なんて日も珍しくない。そんな人気店が、手打ち讃岐うどんの『乃きや』だ。並んでいる間、店先から見える製麺室をずっと眺めていた。麺を生み出す場所が目の前にあるだけで、これから口にする一杯への期待値は自然と高まっていく。
この店を象徴する言葉は、ひたすらに「うどん」。全粒粉をブレンドした麺は、表面が艶やかで、啜ればつるりと滑らか。それでいて噛んだ瞬間には、中心からぐっと押し返しながら、のびるような独特のコシがある。ただ硬いのではない。もちっとした弾力と、高密度な食感。その重なりが、讃岐うどんらしい力強さを生み出している。手打ちならではの微妙なねじれや太さの揺らぎも面白く、つゆや卵をしっかりと抱え込む。極論、うどんがめちゃくちゃレベルが高いから、きっとどのアウトプットも成立するだろう。
まずは「釜玉明太」。熱々の麺に卵が絡み、表面をねっとりとコーティング。そこへ明太子の塩気と辛味、刻み海苔の磯の香りが重なっていく。見た目からして濃厚だが、主役はあくまでうどん。卵のまろやかさをまとっても、小麦の風味とのびるようなコシは埋もれない。明太子を少しずつ崩していけば、味の輪郭は徐々に鮮明に。釜玉×明太子という王道の組み合わせだが、麺そのものが強いと、王道はここまで頼もしくなる。
続いて「とり天肉ぶっかけ」。冷たく締められたうどんの上には、揚げたての鶏天と牛肉が堂々と鎮座。レモンを絞れば、肉と衣の油を爽やかな酸味が切り取っていく。釜玉では包容力を見せたうどんが、今度は真正面からコシをぶつけてくる。口に入れた瞬間から、むちっとした弾力が全開。噛めば押し返し、さらにのびる。この粘り強いコシが実に心地いい。それでいて、啜ったときの滑らかさは失われない。鶏天は衣が軽やかに弾け、中はジューシー。牛肉の甘辛い味付けは、ぶっかけつゆへコクを重ねる。具材はしっかり存在感があるのに、食べ終わった後に最も鮮明に残るのは、やはりうどんだった。
温かい麺では、もちっとした柔らかさと小麦の甘さ。冷たい麺では、圧倒的な弾力とのびるようなコシ。温度によって表情は変わっても、その中心には一貫してうどんの生命力がある。行列に並んででも食べたい理由は、驚くほど単純明快。とにかく、うどんが美味いのだ。広島で讃岐うどんを欲したら、的場町へ。ご馳走様でした。
#乃きや #広島 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 中国料理マスキ at MASUKI (中国料理マスキ)
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【中国料理マスキ】
広島駅から歩いて10分ほど。京橋町の静かな一角に佇む中国料理店『中国料理マスキ』。
2015年2月23日の創業。店主は増木利兆氏。横浜中華街などで磨いた技術を土台に、広東や北京といったジャンルの境界線に縛られず、その時々の食材を少量多皿のコースへと仕立てる。中国料理らしい力強い旨味や香りをきちんと備えながら、火入れ、食感、盛り付けにはモダンな感覚が宿る。瀬戸内の魚介や東広島の地鶏といった広島のテロワールも随所に取り込み、伝統を踏まえつつ、皿の印象はどこか現代的。そのバランスこそが、この店の個性になっている。
最初は「天然蛤のスープ」。島根県益田市鴨島の天然蛤を使った一杯で、澄んだスープに浮かぶ身はぷっくり。噛めば柔らかな弾力とともに、潮の旨味がじゅわりと広がる。余計な装飾に頼らず、蛤とスープだけでコースの幕を開ける潔さ。静かな始まりだが、印象にはしっかり残る。
次は「すね肉の煮凝り」。鹿児島県鹿屋市「ふくどめ小牧場」の幸福豚、その前脚を使った一皿。端正に整えられた姿から、まずモダンな感覚が伝わってくる。口に運べば、冷たいゼラチン質が舌の温度でほどけ、遅れて豚肉の旨味がじわりと広がる。クラシックな料理を、見せ方まで含めて現代的に仕立てている。
続いて「白ミル貝と黄韮」。山口県産の白ミル貝は、こりっとした歯切れの良さが印象的。そこへ黄韮のやわらかな香りを重ね、醤のコクで全体をまとめる。貝の甘味、野菜の香味、発酵調味料の奥行き。それぞれの要素が明確で、シンプルな構成の中に中国料理らしい香りの立体感がある。
続いて「棒々鶏」。東広島こい地鶏は、しっとりとした火入れが印象的。肉には適度な弾力があり、噛むほどに旨味が膨らむ。そこへ胡麻の香りとコクを重ねながらも、鶏そのものの味わいはきちんと残す。棒々鶏らしい濃厚さと、端正な仕上がり。そのバランス感覚がいい。
「マナガツオと胡瓜の胡麻和え」は、火入れの妙が光る一皿。表面には高温で一気に仕上げた香ばしさ。内側には、ふわりとほどける繊細な質感を残す。このテクスチャーは、狙った温度帯を的確に通過させなければ生まれない。胡瓜の瑞々しさと胡麻のコクが魚の脂を受け止め、後味を整える。見た目は穏やかだが、口の中では温度と食感の変化が鮮やかだ。
「ピータン豆腐」は、ピータンのねっとりとしたコクに、豆腐の滑らかな口当たりを重ねる。胡麻油の香りが輪郭を与え、濃密でありながら重たさを残さない。親しみのある組み合わせだからこそ、濃度と香りの調整に料理人のセンスが出る。
「サドルバック豚の叉焼」は、厚み、柔らかさ、香りの三拍子。噛めば肉の繊維がほどけ、脂の甘味がじわりと広がる。表面の焼き香、中心部のしっとり感、最後に残る脂の余韻。その三段階の変化が楽しい。叉焼という定番料理の中にも、店の技術がきっちりと刻まれている。
「フカヒレと蓴菜」は、今回のコースでも特に印象に残った一皿。フカヒレに合わせるのは、濃厚な白湯ではなく澄んだスープ。蓴菜のつるりとした食感が加わり、ネギ油の香りが余韻を整える。フカヒレの繊維感を楽しませながら、味わいは最後までクリア。重厚感だけに頼らない発想がいい。
「瀬戸内のアコウ」は、ふっくらと火入れされた白身に、実山椒の刺激と万願寺唐辛子の青い香りを重ねる。アコウの上品な旨味を中心に据えながら、香辛料と野菜で味わいに高低差を作る。瀬戸内の魚介を中国料理の文法で表現する、この店らしさがよく現れている。
締めは「青柚子のラーメン」。澄んだスープに細麺を泳がせ、青柚子の爽やかな香りを立たせる。その奥には昆布の旨味があり、さらに椎茸のような深みまで感じたが、実際には椎茸は使っていないというから面白い。複数の旨味が重なった結果、存在しないはずのニュアンスまで想起させる。スープ作りの精度が、そのまま余韻の豊かさにつながっている。満腹のはずなのに、箸は止まらない。
最後は「杏仁豆腐」。滑らかな口当たりと杏仁の香りが、コースの余韻を穏やかに整える。力強い旨味と香りを重ねてきた流れの中で、最後はすっと着地。食後の印象まで、きれいにまとめている。
中国料理としての確かな骨格を保ちながら、食感や盛り付けには現代的な感覚を差し込む。瀬戸内の魚介や東広島の地鶏といった広島のテロワールも取り込みつつ、土地の食材だけに寄りかかることなく、その時々の素材を柔軟にコースへ落とし込む。伝統をなぞるだけでも、モダンさを追い求めるだけでもない。その両者を無理なく共存させるバランス感覚こそが、『中国料理マスキ』の魅力。次の季節には、また違う表情に出会えそうだ。ご馳走様でした。
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【中国料理マスキ】
広島駅から歩いて10分ほど。京橋町の静かな一角に佇む中国料理店『中国料理マスキ』。
2015年2月23日の創業。店主は増木利兆氏。横浜中華街などで磨いた技術を土台に、広東や北京といったジャンルの境界線に縛られず、その時々の食材を少量多皿のコースへと仕立てる。中国料理らしい力強い旨味や香りをきちんと備えながら、火入れ、食感、盛り付けにはモダンな感覚が宿る。瀬戸内の魚介や東広島の地鶏といった広島のテロワールも随所に取り込み、伝統を踏まえつつ、皿の印象はどこか現代的。そのバランスこそが、この店の個性になっている。
最初は「天然蛤のスープ」。島根県益田市鴨島の天然蛤を使った一杯で、澄んだスープに浮かぶ身はぷっくり。噛めば柔らかな弾力とともに、潮の旨味がじゅわりと広がる。余計な装飾に頼らず、蛤とスープだけでコースの幕を開ける潔さ。静かな始まりだが、印象にはしっかり残る。
次は「すね肉の煮凝り」。鹿児島県鹿屋市「ふくどめ小牧場」の幸福豚、その前脚を使った一皿。端正に整えられた姿から、まずモダンな感覚が伝わってくる。口に運べば、冷たいゼラチン質が舌の温度でほどけ、遅れて豚肉の旨味がじわりと広がる。クラシックな料理を、見せ方まで含めて現代的に仕立てている。
続いて「白ミル貝と黄韮」。山口県産の白ミル貝は、こりっとした歯切れの良さが印象的。そこへ黄韮のやわらかな香りを重ね、醤のコクで全体をまとめる。貝の甘味、野菜の香味、発酵調味料の奥行き。それぞれの要素が明確で、シンプルな構成の中に中国料理らしい香りの立体感がある。
続いて「棒々鶏」。東広島こい地鶏は、しっとりとした火入れが印象的。肉には適度な弾力があり、噛むほどに旨味が膨らむ。そこへ胡麻の香りとコクを重ねながらも、鶏そのものの味わいはきちんと残す。棒々鶏らしい濃厚さと、端正な仕上がり。そのバランス感覚がいい。
「マナガツオと胡瓜の胡麻和え」は、火入れの妙が光る一皿。表面には高温で一気に仕上げた香ばしさ。内側には、ふわりとほどける繊細な質感を残す。このテクスチャーは、狙った温度帯を的確に通過させなければ生まれない。胡瓜の瑞々しさと胡麻のコクが魚の脂を受け止め、後味を整える。見た目は穏やかだが、口の中では温度と食感の変化が鮮やかだ。
「ピータン豆腐」は、ピータンのねっとりとしたコクに、豆腐の滑らかな口当たりを重ねる。胡麻油の香りが輪郭を与え、濃密でありながら重たさを残さない。親しみのある組み合わせだからこそ、濃度と香りの調整に料理人のセンスが出る。
「サドルバック豚の叉焼」は、厚み、柔らかさ、香りの三拍子。噛めば肉の繊維がほどけ、脂の甘味がじわりと広がる。表面の焼き香、中心部のしっとり感、最後に残る脂の余韻。その三段階の変化が楽しい。叉焼という定番料理の中にも、店の技術がきっちりと刻まれている。
「フカヒレと蓴菜」は、今回のコースでも特に印象に残った一皿。フカヒレに合わせるのは、濃厚な白湯ではなく澄んだスープ。蓴菜のつるりとした食感が加わり、ネギ油の香りが余韻を整える。フカヒレの繊維感を楽しませながら、味わいは最後までクリア。重厚感だけに頼らない発想がいい。
「瀬戸内のアコウ」は、ふっくらと火入れされた白身に、実山椒の刺激と万願寺唐辛子の青い香りを重ねる。アコウの上品な旨味を中心に据えながら、香辛料と野菜で味わいに高低差を作る。瀬戸内の魚介を中国料理の文法で表現する、この店らしさがよく現れている。
締めは「青柚子のラーメン」。澄んだスープに細麺を泳がせ、青柚子の爽やかな香りを立たせる。その奥には昆布の旨味があり、さらに椎茸のような深みまで感じたが、実際には椎茸は使っていないというから面白い。複数の旨味が重なった結果、存在しないはずのニュアンスまで想起させる。スープ作りの精度が、そのまま余韻の豊かさにつながっている。満腹のはずなのに、箸は止まらない。
最後は「杏仁豆腐」。滑らかな口当たりと杏仁の香りが、コースの余韻を穏やかに整える。力強い旨味と香りを重ねてきた流れの中で、最後はすっと着地。食後の印象まで、きれいにまとめている。
中国料理としての確かな骨格を保ちながら、食感や盛り付けには現代的な感覚を差し込む。瀬戸内の魚介や東広島の地鶏といった広島のテロワールも取り込みつつ、土地の食材だけに寄りかかることなく、その時々の素材を柔軟にコースへ落とし込む。伝統をなぞるだけでも、モダンさを追い求めるだけでもない。その両者を無理なく共存させるバランス感覚こそが、『中国料理マスキ』の魅力。次の季節には、また違う表情に出会えそうだ。ご馳走様でした。
#中国料理マスキ #広島 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at Floraison at Floraison (フロレゾン)
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【Floraison】
神楽坂の路地裏にひっそりと灯るフレンチ『Floraison』。店名はフランス語で“開花”を意味する言葉。その名の通り、素材も、技術も、食べ手の感情までも、皿の上でふわりと花開かせるようなレストランだ。肩肘張らない空気感なのに、料理はしっかり一流。そのギャップに、完全にやられた。
厨房を預かるのは、1994年生まれの佐藤貢平シェフ。「ラトリエ... More
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【Floraison】
神楽坂の路地裏にひっそりと灯るフレンチ『Floraison』。店名はフランス語で“開花”を意味する言葉。その名の通り、素材も、技術も、食べ手の感情までも、皿の上でふわりと花開かせるようなレストランだ。肩肘張らない空気感なのに、料理はしっかり一流。そのギャップに、完全にやられた。
厨房を預かるのは、1994年生まれの佐藤貢平シェフ。「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」や「カンテサンス」で研鑽を積んだ経歴を持ちながら、その料理は単なる技巧自慢に終わらない。クラシックフレンチの輪郭を守りながら、日本の四季や香りの記憶を織り込む感性型。若さを売りにする必要などないほど、料理に説得力がある。
スタートのアミューズから世界観は鮮明。「クリガニ」「もち豚」「ラクレット」と並ぶ3種は、それぞれが小さな一口ながら、甲殻の甘味、肉の旨味、乳のコクと、違う方向の美味しさをきっちり提示してくる。香ばしさや塩味、余韻の設計まで抜かりなく、最初の一皿からコースへの期待値をぐっと引き上げる。小さな前奏曲にして、すでに完成度は高い。
そして、この日の白眉はやはり「フォアグラテリーヌ 赤すぐり バルサミコ」。まるでショートケーキのような愛らしい見た目だが、食べればしっかり大人のフレンチ。季節ごとに添えるジャムを替えるスペシャリテらしく、この日は赤すぐりの酸味が主役。フォアグラの濃厚な脂に、赤すぐりのピクルスとバルサミコが切り込み、甘味、酸味、苦味、脂が見事に調和する。可憐な顔して、味わいはなかなか攻めている。
「モリーユ茸 ホロホロ鳥 ヴァンジョーヌ そら豆」は、ホロホロ鳥のもも肉の旨味と胸肉のムースの軽やかさを対比させながら、ヴァンジョーヌのコクで奥行きを作る。モリーユ茸の旨味に、そら豆の青さが差し込まれ、重たさに転ばないバランス感覚が秀逸。ごぼうチップの香ばしさまで含めて、味わいに立体感を生んでいる。
「キンキ グリーンオリーブ グリーンマスタード」は、皮目の焼きの香ばしさが秀逸。脂の乗ったキンキに、白ワインバターのリッチなソースを合わせながら、グリーンマスタードの爽やかな辛味とオリーブの塩気で輪郭を整えていく。濃厚なのに後味は軽やか。
「フランス シストロン産仔羊ロース マディラ」は、火入れが見事。しっとりとした肉質に、マディラ酒を使ったソースの甘やかなコクが重なる。仔羊らしい香りを活かしながらも、味わいはどこまでも端正。クラシックフレンチの文脈にいながら、輪郭は実にシャープ。
デザートの「静岡 黄金柑 百花蜜 マジョラム コニャック」は、蜂の巣を模した繊細な細工まで美しい一皿。黄金柑の爽やかな酸味に、蜂蜜で仕立てたババの柔らかな甘味を重ね、マジョラムのハーブ香とコニャックの余韻で大人っぽく締める。蜂蜜の香りとニュアンスを皿全体で一気通貫させた構成が見事で、コースの最後にふさわしい華やかさを作り上げている。
神楽坂という街に似合う、大人の隠れ家。気軽に過ごせる空気感なのに、皿の上では一切妥協しない。その温度感が実に心地いい。しかも、この内容で驚くほどコストパフォーマンスが高い。若き才能と確かな経験、クラシックとモダン、その全部が美しく開花した一軒。わざわざ神楽坂まで足を運ぶ理由が、ここにはちゃんとある。ご馳走様でした。
#Floraison #神楽坂 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at Masaru at Masaru
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【Masaru】
広島駅新幹線口から歩いて約10分。光町の通り沿いで、赤と黄色のポップな看板が目を引く、お好み焼き・鉄板焼き店『Masaru』。2010年の創業以来、この地で暖簾を掲げる。店主が腕を磨いたのは、グアテマラ出身のフェルナンド・ロペス氏が営む横川の人気店『LOPEZ』。さらにその源流には『八昌』がある。広島のお好み焼きの系譜を受け継ぎながら、自らの感性を重ねる一軒だ。店内は、厨房を囲むコの字型のカウンター。目の前の鉄板では、焼ける音と立ち上る香りが絶えず食欲を刺激する。料理が運ばれる前から、すでに食事は始まっている。
まずは、とりあえずの「ガツ」。薄く切り揃えたガツにネギを散らした、軽やかなスターター。コリコリとした歯応えが心地よく、噛むほどに内臓らしい旨味がじわりと広がる。濃厚なお好み焼きへ向かう前に、口の中をさっぱりと整えてくれる。メインを待つ時間も、こういう一品があると楽しい。
続く「牡蠣の昆布出汁」がいい。鉄板の上に小さな鍋を置き、ふっくらとした牡蠣を昆布出汁で温めながらいただく。香ばしく焼くのではなく、鉄板の熱を穏やかな煮込みへと転換する発想が面白い。昆布の旨味に牡蠣のエキスが溶け出し、食べ進めるほどに出汁の輪郭が深まっていく。ぷるんとした牡蠣はもちろん、最後の汁まできっちり美味しい。鉄板という舞台で、広島らしい食材に少し違った表情を与えている。
締めは「お好み焼き(そば)」。鉄板の上に登場した一枚は、ソースの艶やかな褐色、卵の黄色、青海苔の緑が重なり、いかにも食欲をそそる表情。野菜は鉄板の上でじっくりと蒸され、キャベツの甘味をしっかりと引き出す。麺には香ばしい焼き目がつき、キャベツの柔らかな食感とのコントラストもいい。そこへ豚肉の脂、卵のまろやかさ、ソースの濃厚な甘味が重なり、一枚としての満足感をきっちり作り上げている。
そして、ぜひ加えたいのが「ハラペーニョトッピング」。刻まれた青唐辛子のピリッとした刺激とピクルス由来の酸味が、甘いソースの余韻をすっと切る。修業先で学んだエッセンスだが、単に辛味を足すだけではない。濃厚なお好み焼きに軽やかなリズムを生み、次の一口を自然と呼び込んでいく。気づけばヘラが止まらず、一枚をぺろり。
『Masaru』の魅力は、修業先で学んだスタイルを土台にしながら、自分の店として鉄板の楽しみ方をきちんと広げていること。広島のお好み焼きらしい基本に、ハラペーニョの爽やかな辛味と酸味を重ね、一枚の輪郭を軽やかに整える。学んだものをそのまま置いておくのではなく、自分のカウンターに馴染む形へと仕立て直している。ランチで気軽に立ち寄りながら、一味違う広島のお好み焼きと鉄板料理を楽しめる。広島駅周辺で覚えておきたい一軒だ。ご馳走様でした。
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【Masaru】
広島駅新幹線口から歩いて約10分。光町の通り沿いで、赤と黄色のポップな看板が目を引く、お好み焼き・鉄板焼き店『Masaru』。2010年の創業以来、この地で暖簾を掲げる。店主が腕を磨いたのは、グアテマラ出身のフェルナンド・ロペス氏が営む横川の人気店『LOPEZ』。さらにその源流には『八昌』がある。広島のお好み焼きの系譜を受け継ぎながら、自らの感性を重ねる一軒だ。店内は、厨房を囲むコの字型のカウンター。目の前の鉄板では、焼ける音と立ち上る香りが絶えず食欲を刺激する。料理が運ばれる前から、すでに食事は始まっている。
まずは、とりあえずの「ガツ」。薄く切り揃えたガツにネギを散らした、軽やかなスターター。コリコリとした歯応えが心地よく、噛むほどに内臓らしい旨味がじわりと広がる。濃厚なお好み焼きへ向かう前に、口の中をさっぱりと整えてくれる。メインを待つ時間も、こういう一品があると楽しい。
続く「牡蠣の昆布出汁」がいい。鉄板の上に小さな鍋を置き、ふっくらとした牡蠣を昆布出汁で温めながらいただく。香ばしく焼くのではなく、鉄板の熱を穏やかな煮込みへと転換する発想が面白い。昆布の旨味に牡蠣のエキスが溶け出し、食べ進めるほどに出汁の輪郭が深まっていく。ぷるんとした牡蠣はもちろん、最後の汁まできっちり美味しい。鉄板という舞台で、広島らしい食材に少し違った表情を与えている。
締めは「お好み焼き(そば)」。鉄板の上に登場した一枚は、ソースの艶やかな褐色、卵の黄色、青海苔の緑が重なり、いかにも食欲をそそる表情。野菜は鉄板の上でじっくりと蒸され、キャベツの甘味をしっかりと引き出す。麺には香ばしい焼き目がつき、キャベツの柔らかな食感とのコントラストもいい。そこへ豚肉の脂、卵のまろやかさ、ソースの濃厚な甘味が重なり、一枚としての満足感をきっちり作り上げている。
そして、ぜひ加えたいのが「ハラペーニョトッピング」。刻まれた青唐辛子のピリッとした刺激とピクルス由来の酸味が、甘いソースの余韻をすっと切る。修業先で学んだエッセンスだが、単に辛味を足すだけではない。濃厚なお好み焼きに軽やかなリズムを生み、次の一口を自然と呼び込んでいく。気づけばヘラが止まらず、一枚をぺろり。
『Masaru』の魅力は、修業先で学んだスタイルを土台にしながら、自分の店として鉄板の楽しみ方をきちんと広げていること。広島のお好み焼きらしい基本に、ハラペーニョの爽やかな辛味と酸味を重ね、一枚の輪郭を軽やかに整える。学んだものをそのまま置いておくのではなく、自分のカウンターに馴染む形へと仕立て直している。ランチで気軽に立ち寄りながら、一味違う広島のお好み焼きと鉄板料理を楽しめる。広島駅周辺で覚えておきたい一軒だ。ご馳走様でした。
#Masaru #広島 #お好み焼き Less
