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【古民家ヌードゥル 黒揚羽森住】
千葉・大網白里の穏やかな景色の中にある『古民家ヌードゥル 黒揚羽森住』。築100年超の古民家を改装した空間は、ラーメン屋というより、時間を味わうための舞台みたいだ。手がけるのは森住康二氏。フレンチで10年腕を磨き、1996年に「柳麺ちゃぶ屋」を創業、香港ではラーメン店として世界初のミシュラン一つ星にもたどり着いたレジェンドである。その人がいま、この自然豊かな土地で一杯を差し出している。待ち時間をカフェで過ごせる余白まで含めて、ここにはせかせか食べさせない美学がある。
この日の一杯は「醤油らぁ麺」。黒い八角の丼に澄んだ琥珀色のスープ、大判のチャーシュー、白髪ねぎ、筍という構成で、見た目からして端正だ。ひと口すすれば、まず来るのは出汁の透明感。醤油は前に出過ぎず、輪郭だけをすっと描き、表面の油が香りをふわりと運ぶ。強さで押すのではなく、旨味をきれいに積み上げていく設計で、雑味のない味わいに森住氏のキャリアがにじむ。飲み進めるほどに醤油の香ばしさと出汁の奥行きが重なり、気づけばレンゲが止まらない。
麺はしなやかな細麺で、啜り心地が実に滑らか。スープを過不足なく持ち上げ、口の中で旨味をきちんとつなぐ。「チャーシュー」は大判で、脂の甘みを持ちながらも重たくならず、スープに肉の丸みを加える存在。「筍」は食感のアクセントとして優秀で、白髪ねぎが後味を引き締める。この「醤油らぁ麺」は王道の顔をしているが、ただの王道ではない。長いキャリアの先でたどり着いた、整理された美味しさがある。
合わせた「水餃子」も良かった。つるりとした皮のなめらかさと、餡のやさしい旨味が印象的で、ラーメンの澄んだ輪郭を邪魔せずに寄り添う。派手に主張するわけじゃないが、こういう脇役までちゃんと整っているあたりに、この店の地力が見える。
長いキャリアの果てにたどり着いた一杯には、やっぱり説得力がある。古民家の静かな空気の中で向き合うことで、『古民家ヌードゥル... More
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【古民家ヌードゥル 黒揚羽森住】
千葉・大網白里の穏やかな景色の中にある『古民家ヌードゥル 黒揚羽森住』。築100年超の古民家を改装した空間は、ラーメン屋というより、時間を味わうための舞台みたいだ。手がけるのは森住康二氏。フレンチで10年腕を磨き、1996年に「柳麺ちゃぶ屋」を創業、香港ではラーメン店として世界初のミシュラン一つ星にもたどり着いたレジェンドである。その人がいま、この自然豊かな土地で一杯を差し出している。待ち時間をカフェで過ごせる余白まで含めて、ここにはせかせか食べさせない美学がある。
この日の一杯は「醤油らぁ麺」。黒い八角の丼に澄んだ琥珀色のスープ、大判のチャーシュー、白髪ねぎ、筍という構成で、見た目からして端正だ。ひと口すすれば、まず来るのは出汁の透明感。醤油は前に出過ぎず、輪郭だけをすっと描き、表面の油が香りをふわりと運ぶ。強さで押すのではなく、旨味をきれいに積み上げていく設計で、雑味のない味わいに森住氏のキャリアがにじむ。飲み進めるほどに醤油の香ばしさと出汁の奥行きが重なり、気づけばレンゲが止まらない。
麺はしなやかな細麺で、啜り心地が実に滑らか。スープを過不足なく持ち上げ、口の中で旨味をきちんとつなぐ。「チャーシュー」は大判で、脂の甘みを持ちながらも重たくならず、スープに肉の丸みを加える存在。「筍」は食感のアクセントとして優秀で、白髪ねぎが後味を引き締める。この「醤油らぁ麺」は王道の顔をしているが、ただの王道ではない。長いキャリアの先でたどり着いた、整理された美味しさがある。
合わせた「水餃子」も良かった。つるりとした皮のなめらかさと、餡のやさしい旨味が印象的で、ラーメンの澄んだ輪郭を邪魔せずに寄り添う。派手に主張するわけじゃないが、こういう脇役までちゃんと整っているあたりに、この店の地力が見える。
長いキャリアの果てにたどり着いた一杯には、やっぱり説得力がある。古民家の静かな空気の中で向き合うことで、『古民家ヌードゥル 黒揚羽森住』の「醤油らぁ麺」は、その輪郭をいっそう鮮明にする。派手に驚かせるのでなく、空間ごと静かに唸らせるタイプのラーメンだ。だからこそ記憶に残る。大網白里まで来る意味が、ちゃんとある。ご馳走様でした。
#千葉 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at la buche at la bûche
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【la buche】
京都・大原の静かな山里に店を構えるレストラン『la buche』。店名はフランス語で“薪”を意味する言葉。その名の通り、この店の料理の中心にあるのは薪火の存在だ。炎が生む香り、炭の熱、ゆっくりと素材を変化させる時間。そのすべてを通して、大原の自然そのものを皿の上に描こうとする店である。オーナーシェフの森尚平氏はフランスや東京の星付きレストランで研鑽を積み、故郷・大原へ戻ってきた料理人。世界で磨いた技術を、故郷の畑や山、そして狩猟文化に重ね合わせる。そう、ここは薪火で大原のテロワールを描くレストランだ。
その舞台となる大原という土地もまた、料理の背景として興味深い。京都市街から北へ少し入った山間の集落で、古くから京野菜の産地として知られる里山だ。昼夜の寒暖差が大きく、水も豊富。その自然条件が野菜の味を濃くする。一方で近年は若い農家も増えているという。料理人との対話を重ねながら、新しい品種や栽培方法に挑戦する人たちが現れ、その結果として面白い野菜が次々と生まれている。長く続く京野菜の伝統と、新しい農業の挑戦。その二つが同居しているのが、今の大原という土地らしい。
この店の料理もまた、その環境と強く結びつく。畑の野菜、山の野草、近隣の猟師が仕留めたジビエ。それらに薪火の香りをまとわせ、フレンチの技法で整理していく。乾燥させたぶどうの葉のウェルカムティーから始まり、アミューズでは「紅芯大根... More
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【la buche】
京都・大原の静かな山里に店を構えるレストラン『la buche』。店名はフランス語で“薪”を意味する言葉。その名の通り、この店の料理の中心にあるのは薪火の存在だ。炎が生む香り、炭の熱、ゆっくりと素材を変化させる時間。そのすべてを通して、大原の自然そのものを皿の上に描こうとする店である。オーナーシェフの森尚平氏はフランスや東京の星付きレストランで研鑽を積み、故郷・大原へ戻ってきた料理人。世界で磨いた技術を、故郷の畑や山、そして狩猟文化に重ね合わせる。そう、ここは薪火で大原のテロワールを描くレストランだ。
その舞台となる大原という土地もまた、料理の背景として興味深い。京都市街から北へ少し入った山間の集落で、古くから京野菜の産地として知られる里山だ。昼夜の寒暖差が大きく、水も豊富。その自然条件が野菜の味を濃くする。一方で近年は若い農家も増えているという。料理人との対話を重ねながら、新しい品種や栽培方法に挑戦する人たちが現れ、その結果として面白い野菜が次々と生まれている。長く続く京野菜の伝統と、新しい農業の挑戦。その二つが同居しているのが、今の大原という土地らしい。
この店の料理もまた、その環境と強く結びつく。畑の野菜、山の野草、近隣の猟師が仕留めたジビエ。それらに薪火の香りをまとわせ、フレンチの技法で整理していく。乾燥させたぶどうの葉のウェルカムティーから始まり、アミューズでは「紅芯大根 柚子胡椒」「酸凝固チーズ 椎茸 菊芋」「パンデピス 唐辛子」なとが並ぶ。甘味、酸味、香りを軽く重ねながら、コースの輪郭を整えていく構成だ。
「ねぎ ふきのとう 大根 ラディッシュ」。鹿のブイヨンをベースにしたコンソメの中に、葱や蕗の薹のピュレ、大根を重ねる一皿。まずコン� Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 中屋パン at Nakaya Bakery
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【中屋パン】
名古屋・今池の駅前、人の往来が絶えず、生活と娯楽が交差するこの街で、地元の人々に80年以上愛され続けている『中屋パン』。店先に掲げられた「おいしさ一番」という言葉が、そのままこの店のスタンスを物語る。特別な演出や主張ではなく、日常の中で繰り返し選ばれること。その積み重ねこそが、この店の輪郭を形作っている。
ラインナップは、王道のパンや惣菜パンが中心。揚げ物、ソーセージ系、甘味系と、誰もが一度は手に取ったことのある顔ぶれが並ぶ。技法自体はオーソドックスだが、油の使い方や具材のボリュームに意識が向けられており、特に揚げ物は軽さよりも満足感を重視した設計。
中でも一番人気の「あんドーナツ」。表面の砂糖のざらつき、しっとりとした生地、粒感を残した餡子というシンプルな構成。揚げた油のコクと甘さがしっかりと乗る、食べ応えのある仕上がりで、この店の日常使いを支える一品だ。
「あらびきフランク」は、ふんわりとしたパンに対して、パリッと弾けるソーセージのコントラストが明快。肉汁の広がりが、シンプルな構成に確かな満足感を与える。「ビーフカレーパン」は中辛設定で、牛肉、玉ねぎ、人参、じゃがいもがゴロっと入り、具材の存在感が際立つ。揚げた衣の香ばしさと、どこか家庭的なカレーの味わいが重なり、安心して食べ進められる仕上がりだ。
長年この場所で積み重ねられてきた街の味が、しっかりと息づく。流行や独自性を強く打ち出すのではなく、日々の中で自然に選ばれることを前提にした味づくり。その背景には、この街で必要とされ続けてきた理由が確かにある。店先に掲げられた「おいしさ一番」という言葉に偽りはなく、その価値は日常の中でこそ実感できる。ご馳走様でした。
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【中屋パン】
名古屋・今池の駅前、人の往来が絶えず、生活と娯楽が交差するこの街で、地元の人々に80年以上愛され続けている『中屋パン』。店先に掲げられた「おいしさ一番」という言葉が、そのままこの店のスタンスを物語る。特別な演出や主張ではなく、日常の中で繰り返し選ばれること。その積み重ねこそが、この店の輪郭を形作っている。
ラインナップは、王道のパンや惣菜パンが中心。揚げ物、ソーセージ系、甘味系と、誰もが一度は手に取ったことのある顔ぶれが並ぶ。技法自体はオーソドックスだが、油の使い方や具材のボリュームに意識が向けられており、特に揚げ物は軽さよりも満足感を重視した設計。
中でも一番人気の「あんドーナツ」。表面の砂糖のざらつき、しっとりとした生地、粒感を残した餡子というシンプルな構成。揚げた油のコクと甘さがしっかりと乗る、食べ応えのある仕上がりで、この店の日常使いを支える一品だ。
「あらびきフランク」は、ふんわりとしたパンに対して、パリッと弾けるソーセージのコントラストが明快。肉汁の広がりが、シンプルな構成に確かな満足感を与える。「ビーフカレーパン」は中辛設定で、牛肉、玉ねぎ、人参、じゃがいもがゴロっと入り、具材の存在感が際立つ。揚げた衣の香ばしさと、どこか家庭的なカレーの味わいが重なり、安心して食べ進められる仕上がりだ。
長年この場所で積み重ねられてきた街の味が、しっかりと息づく。流行や独自性を強く打ち出すのではなく、日々の中で自然に選ばれることを前提にした味づくり。その背景には、この街で必要とされ続けてきた理由が確かにある。店先に掲げられた「おいしさ一番」という言葉に偽りはなく、その価値は日常の中でこそ実感できる。ご馳走様でした。
#中屋パン #名古屋 Less
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【はた善】
青森市新町の夜に、青い暖簾を掲げる『はた善』。26年目を迎えるこの店は、地元の生産者や仲卸とのつながりを生かし、津軽海峡をはじめとした鮮魚、八甲田牛、旬の素材を届ける居酒屋だ。観光客にとっては青森の味覚を一気に学べる場所であり、地元の人にとっては普段着のご馳走に出会える場所。なるほど、これは愛されるわけである。
料理の軸は明快だ。地元の魚介を中心に、素材の力を素直に見せる。刺身、煮付け、焼き物、味噌焼き、バター焼き。手法は王道だが、観光地的な説明過多に寄せすぎず、大将の青森話とともに皿が進むところに魅力がある。日本酒はキンキンに冷えた竹筒で登場し、青森の銘酒と海鮮の組み合わせを気分から盛り上げてくれる。こういう演出にみな弱い。
「本まぐろ刺身」は、青森と聞いて真っ先に期待してしまう主役のひとつ。脂の甘み、赤身の酸、口どけの余韻がきちんと揃い、青森に来たぞ、という気分を最短距離で満たしてくれる。
「煮しゃこ」は、剥く体験まで含めて楽しい。殻と格闘し、指先で身を取り出し、ようやく口に運ぶ。このひと手間が旅先の食卓を濃くする。海老とも蟹とも違う淡い甘みが、噛むほどにじわりと広がる。
「あわびバター焼き」は、蝦夷鮑らしい力強い弾力に、バターのコクを重ねた贅沢な一皿。磯の香りと乳脂肪の甘みが合わさり、和食の素材が一気に洋の顔を見せる。さらにリゾット付きというのが心憎い。鮑の旨味を含んだソースを米が受け止め、最後の一口まで余韻を逃がさない。
「帆立貝味噌焼き」は、いかにも青森らしい郷土の香りが漂う。貝殻の中で帆立、味噌、卵が一体となり、焼き目の香ばしさが湯気とともに立ち上がる。帆立の甘みを味噌の塩気が引き締め、卵のまろやかさが全体を包み込む。日本酒との相性は言うまでもない。
「きんきんの煮付け」は、まず呼び名がいい。一般的にはキンキと呼ばれる高級魚だが、青森では親しみを込めるように「きんきん」と呼ばれるそうだ。甘辛い味付けをまとった身はほろりとほどけ、皮目や骨まわりにはコラーゲンのぷるぷる感。脂の甘みもしっかり残っており、青森の夜に熱々の煮魚というだけで理屈が弱くなる。ご飯が欲しくなる危険なやつだ。
締めの「おにぎり」は、梅と鮭。魚介を食べ、酒を飲み、最後に米へ戻る。この着地がとてもいい。海苔の香り、米の粒立ち、具材の塩気。青森の名産をひと通り楽しんだあとに、こういう普段着の味が出てくると妙に沁みる。お土産まで持たせてくれるあたり、最後まで人懐っこい。
『はた善』は、青森の食材、地酒、大将の語り、土地の空気をまとめて楽しむ店だ。鮪、鮑、帆立、きんきんと、青森らしい名産をわかりやすく並べながら、そこに居酒屋らしい温度と距離感がある。大将から青森の歴史を聞き、地元の魚介をつまみ、冷えた竹筒の酒を飲む。なるほど、旅の記憶とはこうやって作られるのだ。ご馳走様でした。
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【はた善】
青森市新町の夜に、青い暖簾を掲げる『はた善』。26年目を迎えるこの店は、地元の生産者や仲卸とのつながりを生かし、津軽海峡をはじめとした鮮魚、八甲田牛、旬の素材を届ける居酒屋だ。観光客にとっては青森の味覚を一気に学べる場所であり、地元の人にとっては普段着のご馳走に出会える場所。なるほど、これは愛されるわけである。
料理の軸は明快だ。地元の魚介を中心に、素材の力を素直に見せる。刺身、煮付け、焼き物、味噌焼き、バター焼き。手法は王道だが、観光地的な説明過多に寄せすぎず、大将の青森話とともに皿が進むところに魅力がある。日本酒はキンキンに冷えた竹筒で登場し、青森の銘酒と海鮮の組み合わせを気分から盛り上げてくれる。こういう演出にみな弱い。
「本まぐろ刺身」は、青森と聞いて真っ先に期待してしまう主役のひとつ。脂の甘み、赤身の酸、口どけの余韻がきちんと揃い、青森に来たぞ、という気分を最短距離で満たしてくれる。
「煮しゃこ」は、剥く体験まで含めて楽しい。殻と格闘し、指先で身を取り出し、ようやく口に運ぶ。このひと手間が旅先の食卓を濃くする。海老とも蟹とも違う淡い甘みが、噛むほどにじわりと広がる。
「あわびバター焼き」は、蝦夷鮑らしい力強い弾力に、バターのコクを重ねた贅沢な一皿。磯の香りと乳脂肪の甘みが合わさり、和食の素材が一気に洋の顔を見せる。さらにリゾット付きというのが心憎い。鮑の旨味を含んだソースを米が受け止め、最後の一口まで余韻を逃がさない。
「帆立貝味噌焼き」は、いかにも青森らしい郷土の香りが漂う。貝殻の中で帆立、味噌、卵が一体となり、焼き目の香ばしさが湯気とともに立ち上がる。帆立の甘みを味噌の塩気が引き締め、卵のまろやかさが全体を包み込む。日本酒との相性は言うまでもない。
「きんきんの煮付け」は、まず呼び名がいい。一般的にはキンキと呼ばれる高級魚だが、青森では親しみを込めるように「きんきん」と呼ばれるそうだ。甘辛い味付けをまとった身はほろりとほどけ、皮目や骨まわりにはコラーゲンのぷるぷる感。脂の甘みもしっかり残っており、青森の夜に熱々の煮魚というだけで理屈が弱くなる。ご飯が欲しくなる危険なやつだ。
締めの「おにぎり」は、梅と鮭。魚介を食べ、酒を飲み、最後に米へ戻る。この着地がとてもいい。海苔の香り、米の粒立ち、具材の塩気。青森の名産をひと通り楽しんだあとに、こういう普段着の味が出てくると妙に沁みる。お土産まで持たせてくれるあたり、最後まで人懐っこい。
『はた善』は、青森の食材、地酒、大将の語り、土地の空気をまとめて楽しむ店だ。鮪、鮑、帆立、きんきんと、青森らしい名産をわかりやすく並べながら、そこに居酒屋らしい温度と距離感がある。大将から青森の歴史を聞き、地元の魚介をつまみ、冷えた竹筒の酒を飲む。なるほど、旅の記憶とはこうやって作られるのだ。ご馳走様でした。
#はた善 #青森 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at カーサ・デル・チーボ at casa del cibo (カーサ・デル・チーボ)
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【カーサ・デル・チーボ】
八戸港の恵みと青森の大地を、イタリア料理という皿の上で再編集する一軒家レストラン『カーサ・デル・チーボ』。店名はイタリア語で「食べ物の家」の意味。2011年5月、東日本大震災直後の八戸にオープンしたという背景からして、この店の料理には土地への覚悟が滲む。池見良平シェフは東京で研鑽を積んだ後、ソムリエである奥様の故郷・八戸へ移住。都市の技術を持ち込みながら、視線は徹底して青森へ向いている。つまり、ここを一言で表すなら“八戸ガストロノミー”。海も山も畑も、八戸という土地をまるごと皿の上に乗せてしまう店だ。
料理の軸は、青森、特に八戸周辺の素材をイタリア料理の文脈で組み立てること。しかも、ただ地元食材を使うだけではない。乾麺に頼らず、パスタそのものに肝を練り込んだり、青森の猪をトルテッリとコンソメに展開したり、キンキの骨をせんべいにして皿の上で再登場させたりと、素材の輪郭を何度も描き直す。足りないものがあれば、探しに行く。なければ、取りに行く。そんな探究心が、皿の細部にまで宿っている。
まず「八戸産毛ガニ... More
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【カーサ・デル・チーボ】
八戸港の恵みと青森の大地を、イタリア料理という皿の上で再編集する一軒家レストラン『カーサ・デル・チーボ』。店名はイタリア語で「食べ物の家」の意味。2011年5月、東日本大震災直後の八戸にオープンしたという背景からして、この店の料理には土地への覚悟が滲む。池見良平シェフは東京で研鑽を積んだ後、ソムリエである奥様の故郷・八戸へ移住。都市の技術を持ち込みながら、視線は徹底して青森へ向いている。つまり、ここを一言で表すなら“八戸ガストロノミー”。海も山も畑も、八戸という土地をまるごと皿の上に乗せてしまう店だ。
料理の軸は、青森、特に八戸周辺の素材をイタリア料理の文脈で組み立てること。しかも、ただ地元食材を使うだけではない。乾麺に頼らず、パスタそのものに肝を練り込んだり、青森の猪をトルテッリとコンソメに展開したり、キンキの骨をせんべいにして皿の上で再登場させたりと、素材の輪郭を何度も描き直す。足りないものがあれば、探しに行く。なければ、取りに行く。そんな探究心が、皿の細部にまで宿っている。
まず「八戸産毛ガニ 十和田産長芋 十和田わさびソース」。もっちりとした長芋の上に、繊細にほぐした毛ガニがたっぷり。わさびソースの緑が視覚的にも鮮やかで、口に入れると蟹の甘味、長芋の粘り、わさびの清涼感が順番にやってくる。和の素材でありながら、ソースの使い方にイタリアンの香りがある。
「八戸産ヒラメ椎茸〆 カリフラワー 椎茸チップ からすみ」は、見た目の白さに対して味わいはなかなか複層的。椎茸で締めたヒラメは淡白さの中に旨味の影をまとい、カリフラワーの甘味、椎茸チップの香ばしさ、からすみの塩気が立体感を作る。魚を主役にしながら、野菜と乾物的な旨味で奥行きを出す構成がいい。
「八戸産キンキ 青森県産帆立 キンキ骨せんべい」は、青い器の中でキンキの赤が映える一皿。ふっくらした身の脂に、帆立のソースの丸い甘味が重なり、サフランの香りが魚介の輪郭をふわりと持ち上げる。骨せんべいの香ばしさまで添えて、身だけで終わらせないところに料理人の意志を感じる。
ここからパスタが続く。
「冷製シャラティエッリ 八戸漁師『三宝丸』さん水ダコ」は、シチリアを思わせるタコのトマトソースでまとめた一皿。冷製のタッチが水ダコの食感を引き立て、噛むほどに海の甘味が出てくる。トマトの酸味が強すぎず、タコの存在感をきちんと前に出している。
続く「鮑の肝を練りこんだパッケリ 八戸産蝦夷鮑 八戸産アオサ」は、この店らしさがよく出ている。麺の中に肝のニュアンスを抱かせ、さらに自ら採ったというアオサを重ねる。鮑の肝の苦味、海藻の香り、パッケリのむっちりした食感。海をそのままパスタに閉じ込めたよう。
「青森県『奥津軽いのしし牧場』さん猪トルテッリ 猪コンソメ」は、猪を詰め物と出汁の二方向で味わわせる構成。飼育された猪らしいクリーンな旨味があり、コンソメは透明感のある力強さ。野芹の香りが野性味を引き締め、肉の料理なのに後味が重くならない。スープまできれいに飲み干してしまう。
「キタッラ 青森県十和田タンクロ牛 ラグー」は、短角牛と黒毛和牛を掛け合わせたタンクロ牛の煮込みソース。すね、頬、テール、アキレス腱あたりの部位の旨味が溶け込み、キタッラの力強い麺がそれをしっかり受け止める。ペポーゾ的な黒胡椒のニュアンスもあり、素朴さと洗練が同居する。
メインの「青森県産『銀の鴨』バロティーヌ仕立て 黒にんにくのソース」は、しっとり火入れされた鴨に、菊をまとわせた衣が華やかな表情を添える。黒にんにくのソースは甘味とコクがあり、鴨の旨味に奥行きを与えていく。肉の力強さと花の香り、その対比が印象に残る一皿だ。
デザートは「青森産よもぎ アーモンド ホワイトチョコレート 黒胡麻」。よもぎの青い香りに、アーモンドとホワイトチョコレートの甘味、黒胡麻の香ばしさ。最後まで青森の植物的な香りを残すあたり、コースの着地として筋が通っている。
全体を通して印象に残るのは、八戸の食材への距離の近さと、パスタへのこだわりの深さだ。魚介の強さ、山の香り、肉の旨味をイタリア料理の型に収めながら、立ち上がるのはやはり八戸の風景。特にパスタはこの店の大きな魅力で、鮑の肝を生地に練り込んだり、猪を詰め物とコンソメで重ねたりと、一皿ごとに食感も香りも変えてくる。八戸を訪れる理由になる一軒。北の海と山と畑を、パスタを軸にしたイタリア料理として食べる。その体験こそが『カーサ・デル・チーボ』の魅力だ。ご馳走様でした。
#カーサデルチーボ #八戸 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 麺屋 龍 at Menya Ryu (麺屋 龍)
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【麺屋 龍】
荻窪のラーメン戦線、その一角に構える『麺家 龍』。家系という巨大な文脈にありながら、どこか輪郭の整った一杯を出してくる店だ。店主・岡本氏は「武道家」で15年以上の修行を積み、若くして店長を務めた実力派。その後も「輝道家」で研鑽を重ね、2022年にこの場所で再出発。その歩みが、そのまま丼の中に表れている。
注文は「得ラーメン」。いわゆる全部入り。
スープは豚骨の旨味を芯に据えながら、口当たりは驚くほど滑らか。濃度はしっかりあるのに重たさに寄らず、乳化のバランスがしっかり整っている。醤油のエッジも丸く、飲み進めるほどに輪郭が立ち上がる設計だ。そこに酒井製麺の中太麺。モチっとした弾力がスープをしっかりと纏い、啜るたびに一体感が増していく。
海苔、ほうれん草、白髪ねぎという家系の王道構成。そこに燻製香をまとったチャーシューがじわじわとスープへ影響を与え、後半にかけて味の厚みが増していく。序盤は整い、中盤から後半にかけて旨味が層になる。
そして面白いのが、ご飯食べ放題というメニュー。思わず手を伸ばしたくなる装置で、20年前の自分なら迷わずボタンを押していただろうが、この日はあえて「並ライス」にとどめる。それでも家系において白飯は不可欠。スープを吸わせた海苔で巻き、ほうれん草を添え、そこに豆板醤をひと差し。この豆板醤の塩気と辛味が加わることで、豚骨のコクが一段と立ち上がる。
岡本氏のキャリアが示すのは、家系の型を守りながらどこまで精度を高められるかという問い。その答えが、この過不足のない濃厚さにある。突出した強さではなく、全体の設計で食べ切らせる一杯。荻窪で家系を選ぶ理由として、しっかり成立している一軒だ。ご馳走様でした。
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【麺屋 龍】
荻窪のラーメン戦線、その一角に構える『麺家 龍』。家系という巨大な文脈にありながら、どこか輪郭の整った一杯を出してくる店だ。店主・岡本氏は「武道家」で15年以上の修行を積み、若くして店長を務めた実力派。その後も「輝道家」で研鑽を重ね、2022年にこの場所で再出発。その歩みが、そのまま丼の中に表れている。
注文は「得ラーメン」。いわゆる全部入り。
スープは豚骨の旨味を芯に据えながら、口当たりは驚くほど滑らか。濃度はしっかりあるのに重たさに寄らず、乳化のバランスがしっかり整っている。醤油のエッジも丸く、飲み進めるほどに輪郭が立ち上がる設計だ。そこに酒井製麺の中太麺。モチっとした弾力がスープをしっかりと纏い、啜るたびに一体感が増していく。
海苔、ほうれん草、白髪ねぎという家系の王道構成。そこに燻製香をまとったチャーシューがじわじわとスープへ影響を与え、後半にかけて味の厚みが増していく。序盤は整い、中盤から後半にかけて旨味が層になる。
そして面白いのが、ご飯食べ放題というメニュー。思わず手を伸ばしたくなる装置で、20年前の自分なら迷わずボタンを押していただろうが、この日はあえて「並ライス」にとどめる。それでも家系において白飯は不可欠。スープを吸わせた海苔で巻き、ほうれん草を添え、そこに豆板醤をひと差し。この豆板醤の塩気と辛味が加わることで、豚骨のコクが一段と立ち上がる。
岡本氏のキャリアが示すのは、家系の型を守りながらどこまで精度を高められるかという問い。その答えが、この過不足のない濃厚さにある。突出した強さではなく、全体の設計で食べ切らせる一杯。荻窪で家系を選ぶ理由として、しっかり成立している一軒だ。ご馳走様でした。
#龍 #麺屋 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at ベンテンドー at ベンテンドー
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【ベンテンドー】
岐阜・柳ヶ瀬に店を構える『ベンテンドー』。創業は大正元年(1912年)、四代続く和菓子店。かつて賑わったこの街の流れを今に残すような存在で、店の佇まいにもどこか昔の空気が残っている。栗を軸に据えた、どこか岐阜らしい和菓子屋。
看板の「栗粉餅」は、蒸した国産栗を裏ごしして砂糖と合わせた“栗粉”を、つきたての餅にかけたもの。工程はシンプルだが、栗の風味をそのまま引き出すことに重心が置かれている。餅は柔らかく、水分を含み、栗粉を受け止める設計。口に入れると、ほろっと崩れる栗粉と餅のやわらかさがすぐに馴染む。甘さは強くなく、後に栗の香りが残る。
四代続いている理由は、この作り方を変えていない点にありそうだ。保存料を使わず、その日のうちに食べる前提も含めて、昔からの形をそのまま続けている。栗をシンプルに味わうにはちょうどいい一軒。ご馳走様です。
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【ベンテンドー】
岐阜・柳ヶ瀬に店を構える『ベンテンドー』。創業は大正元年(1912年)、四代続く和菓子店。かつて賑わったこの街の流れを今に残すような存在で、店の佇まいにもどこか昔の空気が残っている。栗を軸に据えた、どこか岐阜らしい和菓子屋。
看板の「栗粉餅」は、蒸した国産栗を裏ごしして砂糖と合わせた“栗粉”を、つきたての餅にかけたもの。工程はシンプルだが、栗の風味をそのまま引き出すことに重心が置かれている。餅は柔らかく、水分を含み、栗粉を受け止める設計。口に入れると、ほろっと崩れる栗粉と餅のやわらかさがすぐに馴染む。甘さは強くなく、後に栗の香りが残る。
四代続いている理由は、この作り方を変えていない点にありそうだ。保存料を使わず、その日のうちに食べる前提も含めて、昔からの形をそのまま続けている。栗をシンプルに味わうにはちょうどいい一軒。ご馳走様です。
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【餅惣】
水の都・大垣にて、文久2年(1862年)創業という長い歴史を誇る老舗『餅惣』。この地に湧く豊かな地下水と共に歩んできた和菓子屋であり、その存在はもはや地域文化の一部と言ってもいい。名物は「水まんじゅう」。水に浸して提供するという独自のスタイルは、この土地だからこそ成立するものだ。
まずは、その「水まんじゅう」から。透明感のある生地に包まれた餡、その姿は涼そのもの。ひと口含めば、ぷるんとした弾力の後に、すっとほどける口どけ。ここで特徴的なのは、本葛に本わらび粉を合わせることで生まれるコシで、水中にあっても崩れない設計になっている点だ。冷たさは鋭さではなく、やわらかく身体に馴染む温度帯。甘さも穏やかで、喉を潤すように消えていく。
そして、その流れの先にあるのが「水まん氷」。今や夏の主役となった一品だ。八角形の木枡に盛られた氷は、ただの冷たさではなく白蜜をしっかりと含み、ひと匙目からやさしい甘さが広がる。その中に「水まんじゅう」が潜み、スプーンを入れれば、ふわりと崩れる氷とぷるんと弾む葛菓子の対比が際立つ。白蜜をまとった氷の甘みと、「水まんじゅう」のコシある食感が重なり、単調にならないリズムを生む。
160年を超える時間の中で、この店が磨いてきたのは、和菓子の技術以上に“大垣という土地”との関係性だ。清らかな地下水に恵まれ、「水の都」と呼ばれるこの地では、水は生活と文化の中心にある存在。その水で和菓子を浸し、冷やし、最良の状態で届ける発想は、風土から必然的に生まれたものだ。だからこそ訪れる価値がある。ここは、ただ美味しいだけでなく、大垣を食べる体験ができる一軒。ご馳走様でした。
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【餅惣】
水の都・大垣にて、文久2年(1862年)創業という長い歴史を誇る老舗『餅惣』。この地に湧く豊かな地下水と共に歩んできた和菓子屋であり、その存在はもはや地域文化の一部と言ってもいい。名物は「水まんじゅう」。水に浸して提供するという独自のスタイルは、この土地だからこそ成立するものだ。
まずは、その「水まんじゅう」から。透明感のある生地に包まれた餡、その姿は涼そのもの。ひと口含めば、ぷるんとした弾力の後に、すっとほどける口どけ。ここで特徴的なのは、本葛に本わらび粉を合わせることで生まれるコシで、水中にあっても崩れない設計になっている点だ。冷たさは鋭さではなく、やわらかく身体に馴染む温度帯。甘さも穏やかで、喉を潤すように消えていく。
そして、その流れの先にあるのが「水まん氷」。今や夏の主役となった一品だ。八角形の木枡に盛られた氷は、ただの冷たさではなく白蜜をしっかりと含み、ひと匙目からやさしい甘さが広がる。その中に「水まんじゅう」が潜み、スプーンを入れれば、ふわりと崩れる氷とぷるんと弾む葛菓子の対比が際立つ。白蜜をまとった氷の甘みと、「水まんじゅう」のコシある食感が重なり、単調にならないリズムを生む。
160年を超える時間の中で、この店が磨いてきたのは、和菓子の技術以上に“大垣という土地”との関係性だ。清らかな地下水に恵まれ、「水の都」と呼ばれるこの地では、水は生活と文化の中心にある存在。その水で和菓子を浸し、冷やし、最良の状態で届ける発想は、風土から必然的に生まれたものだ。だからこそ訪れる価値がある。ここは、ただ美味しいだけでなく、大垣を食べる体験ができる一軒。ご馳走様でした。
#餅惣 #和菓子 Less
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- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 創作麺 ひとすじ at Sosaku Men Hitosuji (創作麺 ひとすじ)
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【創作麺 ひとすじ】
ラーメンという料理に、どれだけ真っ直ぐ向き合えるか。その覚悟をそのまま店名にしてしまった店がある。2025年2月に誕生した『創作麺 ひとすじ』。ラーメン一筋、その言葉通りの姿勢を掲げる一軒だ。店内はカウンター6席のみのコンパクトな空間。だがオープン直後から行列が生まれ、気づけば人気店の仲間入り。小さな店に集まる大きな期待。その理由は一杯の完成度にある。
「特上中華そば」
まず目に入るのは、その整ったシルエット。丼の表面に美しく並ぶチャーシューの淡いピンク、そして存在感のあるワンタン。中央にまとめられた青葱とメンマ。トッピングの配置が実に端正で、まるで一つの構図のように完成されている。ラーメンは豪快さが魅力になることも多いが、この一杯は、美しさが際立つ。
スープを一口。微乳化したスープは舌当たりがまろやか。動物系の旨味と脂が穏やかに溶け合い、醤油の輪郭を丸く包み込む。コクはしっかりとあるのに後味は軽い。レンゲを重ねるほどに旨味の層が見えてくる設計で、気がつけばもう一口、もう一口と手が伸びる。麺は細めのストレート。いわゆるパツン系の歯切れの良さ。噛んだ瞬間に小麦の香りが立ち、スープを軽やかに引き上げる。スープの丸みと麺のキレ。その対比が、この一杯のリズムを作っている。
そして印象に残るのは接客の良さ。行列店になればなるほど店の空気は慌ただしくなるものだが、この店にはそれがない。カウンター6席という距離感の中で、一杯一杯を丁寧に送り出している。『創作麺... More
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【創作麺 ひとすじ】
ラーメンという料理に、どれだけ真っ直ぐ向き合えるか。その覚悟をそのまま店名にしてしまった店がある。2025年2月に誕生した『創作麺 ひとすじ』。ラーメン一筋、その言葉通りの姿勢を掲げる一軒だ。店内はカウンター6席のみのコンパクトな空間。だがオープン直後から行列が生まれ、気づけば人気店の仲間入り。小さな店に集まる大きな期待。その理由は一杯の完成度にある。
「特上中華そば」
まず目に入るのは、その整ったシルエット。丼の表面に美しく並ぶチャーシューの淡いピンク、そして存在感のあるワンタン。中央にまとめられた青葱とメンマ。トッピングの配置が実に端正で、まるで一つの構図のように完成されている。ラーメンは豪快さが魅力になることも多いが、この一杯は、美しさが際立つ。
スープを一口。微乳化したスープは舌当たりがまろやか。動物系の旨味と脂が穏やかに溶け合い、醤油の輪郭を丸く包み込む。コクはしっかりとあるのに後味は軽い。レンゲを重ねるほどに旨味の層が見えてくる設計で、気がつけばもう一口、もう一口と手が伸びる。麺は細めのストレート。いわゆるパツン系の歯切れの良さ。噛んだ瞬間に小麦の香りが立ち、スープを軽やかに引き上げる。スープの丸みと麺のキレ。その対比が、この一杯のリズムを作っている。
そして印象に残るのは接客の良さ。行列店になればなるほど店の空気は慌ただしくなるものだが、この店にはそれがない。カウンター6席という距離感の中で、一杯一杯を丁寧に送り出している。『創作麺 ひとすじ』。ラーメン一筋という名前がよく似合う一軒だ。行列の理由は、この一杯にある。ご馳走様でした。
#ラーメン #ひとすじ Less
