Foodle
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【流山 すず季】
異なる産地が一つになる、十割そばの設計図
千葉・流山の住宅街に、静かに暖簾を掲げる蕎麦の名店『流山 すず季』。創業は1988年。店主・鈴木宏富氏の蕎麦にかける情熱は、畑から食卓までを自らの手で完結させるほど。農家に通い続け、自らも畑を耕し、収穫し、天日で干し、石臼で挽く。まさに“蕎麦の一生”を手の内に収める人だ。
「今昔そば(二色もり)」は、繊細な「生粉打ち」と、力強い「田舎そば」の競演。前者には、福井の永平寺、宮崎高千穂、島根の出雲という三つの産地から届いた玄そばを絶妙にブレンド。香り、甘み、歯触りのバランスを設計し、奥行きある味わいを実現している。ブレンドの妙が、味に重層性をもたらし、一口ごとに表情を変える。
「田舎そば」には茨城県ひたちなか産の玄そばを使用。粗挽きならではの野趣と香ばしさがあり、噛むごとに蕎麦の輪郭がはっきりと現れる。これを支えるのが、蕎麦ごとに調整された“かえし”の存在。生粉打ちには出汁の輪郭が際立つ柔らかなつゆ、田舎そばにはひたちなかの蕎麦の力強さに負けない濃いめのかえし。二枚の蕎麦、それぞれに設計されたつゆが、食べ比べの妙を一層引き立てる。
「ちょこっと天ぷら」は、海老一本と野菜たち。ヤングコーン、ししとう、舞茸、そして皮をむいてとろけるように仕上げた茄子。揚げ油は10人前ごとに交換されるという徹底ぶりで、衣は驚くほど軽やか。特に茄子の火入れには心を打たれるものがあり、蕎麦の余韻を優しく支える。
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【パーラー江古田】
パンが料理になるとき、食卓の境界がほどける。
江古田の住宅街にひっそりと佇む『パーラー江古田』。緑に覆われた小道の先、古びた木戸と擦れた暖簾。控えめな佇まいの中に、センスの良さが静かに光る。まるで知人のアトリエを訪ねたような、手仕事と暮らしが密接した空間。入った瞬間、ここが“ただのパン屋”ではないことを体が察知する。
料理の主役はもちろんパン。だが、ここでは、パンが美味しいだけでは語りきれない。まるでビストロに来たかのような完成度の料理と、そこに添えられたパンが一皿として一体となって迫ってくる。パンが脇役”でなく、一皿の中心に立つ。そんな構成力に驚かされる。
例えば、「焼きカチョカヴァッロ」。岡山・吉田牧場のカチョカヴァッロを厚切りにして焼き上げ、トーストに重ねた一皿。外は香ばしくパリッと、内側はとろとろの半熟。シンプルな構成だが、チーズの熟成香とパンの酸味、焼きの香ばしさが渾然一体。塩気も乳脂も、すべてが美味しさの方向へきれいに収束する。
「ほうれん草とリコッタチーズのキッシュ」も印象的。高さのある断面から覗くのは、ぎっしりと詰まった具材たち。あっさりとしたリコッタはまるで豆腐のように優しく、ドライトマトがコクと酸味をプラス。表面は香ばしく、中はしっとり。小麦の香るタルト生地がそれをしっかり支える。添えられるサラダと数種のパン。どれもがただの付け合わせではなく、皿の完成度を押し上げる。
そして「自家製ハムのサンド」。パンは数種から選べる仕組みで、小麦酵母のフランスパンをチョイス。厚めのクラストにナイフを入れると、ガリッと小気味よい音。中にはしっとりと重なる自家製ハム、シャキシャキのキャロットラペ。パンの酸味と香ばしさ、ハムの塩気、にんじんの甘さ──すべてが主張しながらも不思議と衝突しない。間違いなくサンドイッチではあるが、完成された料理とも言える。
ショーケースには、そんなパンたちがぎっしりと並ぶ。焼き色の艶、クラストの張り、クラムの密度。そのどれを取っても、ただ焼いているだけでは出せない説得力がある。『パーラー江古田』は、パン屋であり、料理屋であり、そのどちらでもない。パンを通じて“食”の奥行きを伝える場所だ。江古田という街の静かな日常に溶け込むこの店で、料理とパンの境界線がゆっくりとほどけていく感覚。その心地よさに、また足を運びたくなる。
ご馳走様でした。
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【小野田商店】
煙とホルモンの真剣勝負
中目黒駅から歩いてすぐ。雑居ビルの一階にひっそりと佇む『小野田商店』。看板は最小限、扉は木目むき出し、ビニールシートが垂れた無骨な入り口が逆にグッとくる。なんの化粧もしていない潔さが、この店の哲学を体現しているのだ。創業は2005年、あの「肉山」の流れをくむホルモン専門店。そう、ここは煙もうもうのカウンターで楽しむ本気のホルモンなのだ。
まずは「センマイ刺し」。黒みが少なく透き通るような身は、下処理の丁寧さを物語る。シャキシャキとした歯ごたえ、クセのなさ、噛むたびに生まれる微かな旨味。酒の肴としても、ホルモン屋の名刺代わりとしても十分な一皿だ。続いて「牛煮込み」。甘辛い味付けにホルモンのコクが溶け込み、じんわりと胃袋を温める。
そして看板の「ホルモン9種盛り合わせ」。ノド、マルチョウ、豚トロ、コリコリ、ハツ、ツラミ、ギアラガツシン、シビレなど――脂、歯ごたえ、風味、それぞれに個性が立ち、飽きが来ない。炭の香りを纏った「しびれ」は特に印象的で、脂が甘く、口内でとろける瞬間に思わず目を閉じる。
合間に頼んだ「オクラ」と「厚揚げ」も名脇役。火を通すことで甘みを増したオクラ、表面をパリッと焼いた厚揚げ。脂の合間に、こうした野菜が差し込まれると、味覚がリセットされるようで嬉しい。
そして、最後が「スペ玉ご飯」。炊き立ての白米の中心に、輝くような卵黄が鎮座。醤油と胡麻が香ばしさを演出し、箸を入れた瞬間、とろりと黄身がご飯に絡む。“卵かけご飯”という日常の一品が、ここでは一日のクライマックスに昇華する。これが〆なら、誰も文句は言えまい。
全体を通して、『小野田商店』は、余計なことをしない潔さに貫かれている。奇をてらわず、でもしっかりと仕込み、焼き、仕上げる。その真っ直ぐさが、味わいに正直に現れるのだ。煙に包まれたカウンターで頬張るホルモン、その瞬間にこそ、この店の価値が凝縮されている。
ご馳走様でした。
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【Spice Corner Benzie】
横浜の南インド料理店。見た目ポップ、中身ガチ。
緑の外観が目を引く『Spice Corner Benzie』。リーゼント姿のご主人といい、全体にどこかポップで自由な空気が漂うが、そんな雰囲気からは想像できないほど、本格的な南インドカレーが供される。2021年に横浜にオープンして以来、確かなセンスと味わいで、界隈のカレー好きたちの注目を集めている一軒だ。
注文はミールス形式で、1種盛りから最大4種盛りまで選べる仕組み。ライスの量も100gから300gまで好みに応じて調整可能で、オプションでバスマティやレモンライスにも変更可能。さらにラッサムや野菜の副菜が自動でセットになっており、構成全体でバランスの取れた一皿に仕上がるのが嬉しい。特に印象的だったのは、「砂肝と大根のウールガイ」。スパイスの酸味と素材の旨味が一体となった、主役級の出来映え。どの要素をとっても、店主のセンスと引き出しの多さがうかがえる。
せっかくなので、カレーは4種。
「キーマ・マター(チキンキーマ)」。しっとりとした鶏挽肉に、グリーンピースの爽やかな青み。香菜が清涼感を加え、軽やかにまとまっている。「プッドゥ・コッタイ・マトン」は力強い一皿。マトンの塊感とホールスパイスのガツンとした香りが、噛むたびに野性味を立ち上げてくれる。
「マカレル・コザンブ」は、揚げ焼きにされた鯖にココナッツと唐辛子が絡む。魚の脂とスパイスの香りが、口の中で香ばしく弾けるよう。対照的に「ゴビ・ダル(カリフラワー入り豆の煮込み)」は、柔らかな豆とカリフラワー、トマトの旨味がじんわり染み出る優しい味わい。スパイス感は控えめで滋味深く、まるで野菜のスープのよう。
見た目のポップさと裏腹に、皿の上は本格と自由が絶妙に交差する南インドの世界。ここ『Spice... More
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【シャントレル】
木の子に導かれる、代々木八幡フレンチ
代々木八幡の静かな街並みに佇むフレンチレストラン『シャントレル(Les Chanterelles)』。店名の“シャントレル”とは、フランス語でアンズタケ――つまり、キノコのこと。その名を掲げるだけあり、料理の端々に山の香りが息づいている。シェフ・中田雄介氏は、“キノコの魔術師”と称されたフランス三つ星『レジス・マルコン』で修業を重ねた人物。その経験が、このレストランの芯となっている。
コースの中でもスペシャリテとして供されるのが「木の子のお茶」。かつての師のスペシャリテであったコンソメを、ティータイムのような優雅さで再構成。あたたかいスープの香りに包まれつつ、添えられるのはなんとフォアグラとバターを練り込んだマカロン。塩気とコクが口内でスープと響き合い、甘味とはまた違う“午後のひととき”が完成される。
続く前菜「スモークサーモンのリエットと木の子のトースト」は、穏やかな燻香とキノコの芳しさが一体となり、バゲットにのせれば完成される一口。続く「新玉ねぎのムースとトマトのジュレ」では、素材の甘みと酸味が揺らぎのように交差し、口の中を一度まっさらに戻してくれる。
「メヒカリのベニエ」は、まさにこの季節の恵み。衣揚げされたメヒカリは、トマトのガスパチョとともに食すことで、軽やかな酸味が旨味を引き立てる。舞茸とそら豆のフリットも実に香ばしく、みかんと生姜のジャムでの味変も楽しい。添えられたゼンマイのサラダも含め、構成が多層でありながら自然にまとまっている。
魚料理は「鰹のマリネ」。生の鰹に紫キャベツ、下には玉ねぎとマヨネーズ、ニンニク。そして、決め手は生姜のキャラメリゼ。日本の伝統的な香りの組み合わせを、見事にフレンチの構成に落とし込んでいる。
野菜料理は「ホワイトアスパラ」。濃厚なオランデーズとサヴァイヨンの二重奏が、端正な火入れのアスパラに寄り添う。アスペルジュ・ソバージュの香りと柑橘の爽やかさが、味わいに陰影を加えていた。
メインは「バスク産乳飲み仔羊のロースト」。ミルキーな風味とふわりとした肉質に、ジロール茸とレンズ豆の力強さが寄り添う。そしてこの皿には“追いピゼリ”が用意されており、余ったジュのソースに、春のグリーンピースを混ぜ込んだバターライスを流し込む構成。食べ終わる瞬間まで、味の物語が続く仕掛けだ。
デセールは、ベトナム産チョコレートの濃密なテリーヌに、ホットワイン香るシャーベットを添えて。温度とスパイスが後味に奥行きを与える。
山と火の香り、そしてクラシックと自然の共鳴。穏やかながら芯のある料理構成で、ひと皿ごとに静かに語りかけてくる。ご馳走様でした。
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【龍吟】
足し算の美学。
東京日比谷ミッドタウン、その奥まった一角に佇むのは、ミシュラン三つ星の名を十年以上にわたって守り抜く名店『龍吟』。専用のエレベーターを降りた先、飲食フロアの外に“たった一軒だけ”存在するその姿は、すでに料理の一部であるかのように特別だ。そこにあるのは、和食の伝統と革新が交差する空間。そして、山本征治という料理人の思想が色濃くにじむ舞台。
この店が提示する日本料理は、一般に語られる引き算の美学とは、異なる立ち位置にある。不要な味や雑味をそぎ落とし、素材の本質を際立たせる──それが和食の根幹であることに異論はない。だが『龍吟』は、そこに、あえて重ねることで、さらなる奥行きや広がりを生み出そうとする。香りを足し、食感を重ね、味の層を積み上げていく。素材を生かすための“もう一手”。その手数の中に、山本征治シェフの思想が宿っている。
『龍吟』は、日本料理の伝統をなぞる店ではない。出汁と素材で語る和食の形式に、「重ねる」という発想を持ち込んだその料理は、むしろ挑戦的だ。香りを足し、油脂を重ね、火入れを操る。その手数のひとつひとつが、味だけじゃなく“構造”をつくっていく。だからこそ、世界はこの料理に目を奪われる。三つ星を守り続けているのも、格式じゃなく革新によって。それが、今の龍吟であり、山本征治という料理人の立ち位置だ。引き算の美学ではなく、足し算の美学。ご馳走様です。
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【麺屋 ようすけ】
佐野ラーメンの理想と、その先。
栃木・佐野市。青竹手打ちによる自家製麺を看板に掲げ、平日でも行列を絶やさない人気店『麺屋 ようすけ』。2012年創業、整理券制を採用するほどの繁盛ぶりで、今や佐野ラーメンの代名詞とも言える存在だ。
「ラーメン」は、その佐野ラーメンの理想形を体現したような一杯。透明度の高いスープは、鶏ガラ、豚ガラ、牛すじ、野菜などから丁寧にとられたもの。あっさりとした見た目に反して、じんわりと骨格ある旨味が広がり、飲み進めるごとにその深みに気づかされる。トッピングもシンプルで、メンマ、チャーシュー、ネギと最小限。スープの滋味深さを邪魔せず、むしろそれを引き立てる構成だ。
青竹で打たれる縮れ麺は、太さにバラつきがあり、食感の変化が面白い。ツルツルと滑らかな喉越しと、モチッとした歯ごたえを併せ持ち、淡麗なスープをしっかりと受け止める。単なる脇役ではなく、主役級の存在感を放っていた。
一方で「背脂生姜醤油ラーメン」は、既存の佐野ラーメンに新たな切り口を加えた進化形とも言える一杯。たっぷりと浮かべられた背脂は甘みとコクを添え、生姜はその重たさをスッと切り裂くように香り立つ。この構成は、新潟ラーメンを想起させるアイテムたち。加えて、醤油のキレと海苔の風味が交互に現れ、味わいの立体感を演出。全ての要素が重なり合いながら、やがて一体となる設計には、完成度の高さを感じた。
手打ちの麺は、もちろんここでも健在。重層的な味わいと絡み合いながら、最後までその存在感を保ち続ける。生姜の刺激、背脂のまろやかさ、醤油のコク、それら全てをしなやかに受け止めるその姿勢には、この店の地力の高さが現れていた。王道と革新、どちらもこの一軒で味わえる。佐野ラーメンの“現在地”を知るには、まさにうってつけの一杯たちだった。ご馳走様でした。
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【鮨 原正】
華やかさではなく、確かさで勝負する鮨
大阪・上本町の静かな住宅街に暖簾を掲げる『鮨 原正(はらしょう)』。創業は2003年。以来、ミシュラン二つ星を守り続け、大阪を代表する鮨店の一つに数えられる存在だ。店名は、ロシア語で「素晴らしい!」を意味する“ハラショー”に由来するとか。食後に口をついて出る、まさにそんな体験がここにはある。
店内は白木が美しい一文字カウンター。店主・石川功氏ともう一人、二人体制で構える静謐な空間だ。この日は石川氏本人の手で握りをいただく。言葉少なな所作のひとつひとつに、穏やかで誠実な空気が漂う。
つまみは、「鮑」「蛸」「鯛」「鱧」「鰯」など。一仕事を施されつつも過剰にならず、素材の声をそっと引き出すような塩梅。「鰻の醤油漬け」はサクッとした皮目に脂の甘みが滲み出し、「蟹味噌」は三杯酢と蟹味噌で仕上げられる。「蛤の茶碗蒸し」は、滋味深い出汁の余韻で心が静まる。
握りは、白酢のみで仕立てられた小ぶりなシャリが特徴的。甘みを加えず、酢と米、そしてネタがまっすぐに響き合う。「烏賊」「鱚」「平貝」「甘海老」「赤身」「大トロ」「小肌」「車海老」「鯵」「雲丹」「煮蛤」と、一貫ごとにテンポよく供され、それぞれが明確な輪郭を持って口の中でほどけていく。
締めの手巻きは2種。「中トロの細巻き」は、海苔の香ばしさとシャリの温度が一体となってクライマックスを演出。そして最後の「干瓢や玉子を巻いた太巻き」は、まさに“玉子”的な位置付け。見た目にも楽しく、食後の余韻を優しく包み込む。
静かで丁寧な一貫一貫が、店の哲学をそのまま体現する『鮨... More
A wonderful lunch at Jean-Georges where @j.blessup presents dishes with unique, bold flavors. Quite impressive. I thought this pushed above the two star rating.
Tasmanian sea trout on crispy rice.
Zucchini falafel with pollen aioli.
Heirloom tomatoes, compressed watermelon, myoga.
Tuna, itachi cucumber, poblano escabeche and ancho-almond... More
Bites from @the_arts_club x @kokoro.dxb 🍣
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A fun evening at Arts with hand rolls flowing all night long. The guys at Kokoro always bring the top-tier produce - from the cleanest bluefin tuna to the creamiest bafun uni. The attention to detail is what makes it: perfectly seasoned, carefully topped nigiri, crispy nori, and... More
