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【レストラン ナズ】
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軽井沢の深く静かな空気に包まれる『レストラン ナズ』。地元・軽井沢内での移転を経て、料理・空間・体験のすべてがひとつ上のフェーズへと昇華された印象。建築士である奥様とともに設計された新たな空間は、料理の世界観と歩調を合わせるように、静かで凛とした佇まいを見せる。そこに立ち上がるのは、テロワールの記憶を料理に写し取るという意思。風土、季節、時間。目に見えないそれらを、五感で捉え直す場だ。

その思想の象徴とも言えるのが、信州サーモンを主軸に据えた二皿のスペシャリテだ。ひとつは、3年半かけて育てられたサーモンをドライエイジングでさらに凝縮し、発酵蕪とトマトのソースを重ねた構成。香り、酸、旨味が滑らかに折り重なり、時間の蓄積をひと口の中で感じさせる。対となるのは、3年熟成の奈良漬を添えたシンプルな一皿。構成は極限まで抑えられているが、サーモンの脂と奈良漬の酸が香りとして響き合い、余韻には静かな深みが残る。ひとつは構築、もうひとつは削ぎ落とし。異なる手法で、同じ素材の輪郭を浮かび上がらせていた。

冒頭に登場する一皿にして、すでにこのコースの語り口が明確に現れていた。中心にあるのは「里芋」。高温のフリットではなく、じっくりと低温で揚げ、ねっとりとした質感と芯に残る水分を巧みにコントロールしている。そこに巻かれるのは、1年間白カビで熟成させた峰村牛の生ハム。脂の甘みと熟成香が芋の滋味と静かに重なり、香りの中心には黒胡椒が淡く漂う。過不足のない構成が、すでに『ナズ』らしさを物語る。合わせるペアリングは、苺をトマトウォーターのように抽出した液体。甘さを削ぎ落とし、高麗人参や根菜のようなニュアンスを滲ませている。口の中に残る土のような余韻が、芋と... More