Dinner at Tiffany & Co.

Dinner at Tiffany & Co.

at Blue Bottle Coffee Ginza Cafe on 8 August 2025
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Blue Box Café by Natsuko Shoji | Ginza, Tokyo
銀座「Blue Box Café by Natsuko Shoji」

ティファニー銀座本店の4階に、日本初となるブルーボックスカフェが誕生した。

プロデュースは、代々木上原「été」の庄司夏子シェフ。単なる監修にとどまらず、étéを一時クローズしてまでチーム全員で銀座に乗り込み、開業にこぎつけた。ブランドの顔とも言える空間に、妥協なき料理を持ち込むという強い覚悟がうかがえる。

メニューの構成は、朝食、アフタヌーンティー、アラカルトの三本柱。中でも朝食とアフタヌーンティーは、従来決まった型の中でしか提供されてこなかったジャンルであり、積極的に踏み込む料理人も少なかった。そんな中で庄司シェフは「どうせやるなら自分にしかできないことを」と全てをゼロベースで見直し、朝食とアフタヌーンティーのアップデートに成功した。

料理は、まず野菜のコンソメから始まる。ハーブティーのようにも見える透明なスープは滋味深く、身体に染み入るような味わいで、何杯でも飲みたくなる。

続くガスパチョは、ピンクグレープフルーツ、夏苺、ミントバジル、オリーブオイルを合わせた一皿。一般的な洋朝食でよく見られる野菜のサラダとフルーツの盛り合わせを、料理として再構成している。日本のホテル朝食におけるサラダに個人的には意義を見出せていなかったが、こうして料理に昇華されているのは大賛成。

シャルキュトリーは、矢澤ミートが特別に仕込んだブレザオラ、モルタデッラ、プロシュートの三種。中でもモルタデッラの仕上がりが印象的。サーモンは、山梨県産のキングサーモンとマスノスケの交配種を使用。塩分濃度が低めで、わざわざレストランで食べる意味を感じさせてくれる。

牛肉のタルタルには、酸味の効いた夏らしい野菜のサルサソースがかけられ、サラダ感覚でいただける。生肉提供の許可の取得を念頭にキッチンのレイアウトをデザインしてまで出す一品であり、クラシックな料理に軽やかな解釈を与えるこうした発想こそが、庄司シェフらしい。

パンは、étéのブリオッシュを当店用に小型化したものと、発酵バターで仕上げたクロワッサン。クロワッサンはサクサクとした層の重なりが見事で、見た目も味わいも秀逸。

スクランブルエッグには、カリッと焼いたベーコンを添えて。クリーミーな質感からバターを想像したが、実際にはバター不使用で、代わりに出汁を用いているとのこと。バターが重いと感じる人にとっても軽やかで、優しい旨味がじんわりと広がる。まさに日本人シェフが監修することの矜持を感じる一皿。

アラカルトの一品のブルターニュ産活オマール海老のパイ包みは、「été」のスペシャリテ。若手でパイ包みをレギュラーで出すシェフは数少ないが、フランス古典への敬意を忘れない姿勢は庄司シェフの真骨頂でもある。

自家製グラノーラは、ざくざくしすぎずしっとりしすぎない絶妙な食感。果実やナッツの配合も含めて考え抜かれており、既製品にはない完成度の高さがある。

最後のデザートは、パッションフルーツ、マンゴー、パイナップルのショートケーキ。季節ごとにフルーツは変わるそうだが、この時期は南国の甘酸っぱさでまとめている。日本独自の文化ともいえるショートケーキを、アメリカ発のブランド空間で再構築して提供するそのセンスに、日本人シェフ兼パティシエールとしてのプライドがにじむ。

Tiffanyという名だけでも客は集まるだろうが、庄司シェフはその安易さを拒み、自分にしかできない表現をこの空間に持ち込んだ。ブランドのファンのためだけのカフェではなく、ガストロノミーを愛する食べ手のためのレストランとして成立している。オンライン予約はすでに先まで埋まっているようだが、まだ完全に不可能ではないようなので、早い段階での訪問をおすすめしたい。