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【鮨 波やし】
寄せては返す、鮨の波。
高円寺の静かな通り沿い。そこに、ひっそりと暖簾を掲げる『鮨 波やし』がある。
2017年に初訪問して以来、またいつかと願っていたが、久しぶりにその願いが叶った。世間で「安くて美味い寿司はないか」と聞かれるたびに、ふと思い出す一軒。派手な演出もなければ、SNS映えを狙うわけでもない。ただひたすら、誠実に、真っ直ぐに、鮨と向き合う空気がここにはある。品数は多い。しかしどれも過剰な自己主張はせず、寄せては返す波のように、静かに心に余韻を残していく。『波やし』──その名前がこれほど似合う場所もないだろう。
7年の歳月を経ても、その魅力は少しも色褪せない。ここには、時代に流されない強さがある。
まずは、つまみから。
「本鮪、青柳、蛍烏賊、牡丹海老」
「稚鮎、鮪ハラミ、平貝の柱、ひも」
「茶碗蒸し」黒ムツ、帆立、ズワイ蟹
「毛蟹」
「カイノミ」
「カリカリ梅と沢庵」口直し
「蟹味噌炒飯」酢飯ベース
「爆弾」中落ち、納豆、沢庵、烏賊、いくら、海苔。まさに爆弾。
ここから、握り。
「中トロ」
「平目」昆布締め
「小肌」
「赤貝」
「漬け」
「鰯」
「白海老」
「墨烏賊」雲丹乗せ
「穴子」
「巻物」鯵の紫蘇焼きととろたく
「北寄貝」
「黒むつ」
「味噌汁」
『波やし』の魅力を、コストで語るのは本意ではない。だが、これだけの品数とクオリティを、この価格帯で楽しませてくれる鮨屋は、そう多くない。言葉を尽くすよりも、ただ一言、「ありがたい」と伝えたくなる。そりゃ、予約が困難になるのも当然だろう。7年の歳月が証明している。流行りに乗らず、奇をてらわず、ただ良い鮨を、良い空気と共に届ける。その誠実な営みが、今日も『波やし』を作っているのだ。
ご馳走様です。
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