- ミトミ えもん added a new meal Dinner at Floraison at Floraison (フロレゾン)
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【Floraison】
神楽坂の路地裏にひっそりと灯るフレンチ『Floraison』。店名はフランス語で“開花”を意味する言葉。その名の通り、素材も、技術も、食べ手の感情までも、皿の上でふわりと花開かせるようなレストランだ。肩肘張らない空気感なのに、料理はしっかり一流。そのギャップに、完全にやられた。
厨房を預かるのは、1994年生まれの佐藤貢平シェフ。「ラトリエ... More
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【Floraison】
神楽坂の路地裏にひっそりと灯るフレンチ『Floraison』。店名はフランス語で“開花”を意味する言葉。その名の通り、素材も、技術も、食べ手の感情までも、皿の上でふわりと花開かせるようなレストランだ。肩肘張らない空気感なのに、料理はしっかり一流。そのギャップに、完全にやられた。
厨房を預かるのは、1994年生まれの佐藤貢平シェフ。「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」や「カンテサンス」で研鑽を積んだ経歴を持ちながら、その料理は単なる技巧自慢に終わらない。クラシックフレンチの輪郭を守りながら、日本の四季や香りの記憶を織り込む感性型。若さを売りにする必要などないほど、料理に説得力がある。
スタートのアミューズから世界観は鮮明。「クリガニ」「もち豚」「ラクレット」と並ぶ3種は、それぞれが小さな一口ながら、甲殻の甘味、肉の旨味、乳のコクと、違う方向の美味しさをきっちり提示してくる。香ばしさや塩味、余韻の設計まで抜かりなく、最初の一皿からコースへの期待値をぐっと引き上げる。小さな前奏曲にして、すでに完成度は高い。
そして、この日の白眉はやはり「フォアグラテリーヌ 赤すぐり バルサミコ」。まるでショートケーキのような愛らしい見た目だが、食べればしっかり大人のフレンチ。季節ごとに添えるジャムを替えるスペシャリテらしく、この日は赤すぐりの酸味が主役。フォアグラの濃厚な脂に、赤すぐりのピクルスとバルサミコが切り込み、甘味、酸味、苦味、脂が見事に調和する。可憐な顔して、味わいはなかなか攻めている。
「モリーユ茸 ホロホロ鳥 ヴァンジョーヌ そら豆」は、ホロホロ鳥のもも肉の旨味と胸肉のムースの軽やかさを対比させながら、ヴァンジョーヌのコクで奥行きを作る。モリーユ茸の旨味に、そら豆の青さが差し込まれ、重たさに転ばないバランス感覚が秀逸。ごぼうチップの香ばしさまで含めて、味わいに立体感を生んでいる。
「キンキ グリーンオリーブ グリーンマスタード」は、皮目の焼きの香ばしさが秀逸。脂の乗ったキンキに、白ワインバターのリッチなソースを合わせながら、グリーンマスタードの爽やかな辛味とオリーブの塩気で輪郭を整えていく。濃厚なのに後味は軽やか。
「フランス シストロン産仔羊ロース マディラ」は、火入れが見事。しっとりとした肉質に、マディラ酒を使ったソースの甘やかなコクが重なる。仔羊らしい香りを活かしながらも、味わいはどこまでも端正。クラシックフレンチの文脈にいながら、輪郭は実にシャープ。
デザートの「静岡 黄金柑 百花蜜 マジョラム コニャック」は、蜂の巣を模した繊細な細工まで美しい一皿。黄金柑の爽やかな酸味に、蜂蜜で仕立てたババの柔らかな甘味を重ね、マジョラムのハーブ香とコニャックの余韻で大人っぽく締める。蜂蜜の香りとニュアンスを皿全体で一気通貫させた構成が見事で、コースの最後にふさわしい華やかさを作り上げている。
神楽坂という街に似合う、大人の隠れ家。気軽に過ごせる空気感なのに、皿の上では一切妥協しない。その温度感が実に心地いい。しかも、この内容で驚くほどコストパフォーマンスが高い。若き才能と確かな経験、クラシックとモダン、その全部が美しく開花した一軒。わざわざ神楽坂まで足を運ぶ理由が、ここにはちゃんとある。ご馳走様でした。
#Floraison #神楽坂 Less
