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⁡【la buche】

京都・大原の静かな山里に店を構えるレストラン『la buche』。店名はフランス語で“薪”を意味する言葉。その名の通り、この店の料理の中心にあるのは薪火の存在だ。炎が生む香り、炭の熱、ゆっくりと素材を変化させる時間。そのすべてを通して、大原の自然そのものを皿の上に描こうとする店である。オーナーシェフの森尚平氏はフランスや東京の星付きレストランで研鑽を積み、故郷・大原へ戻ってきた料理人。世界で磨いた技術を、故郷の畑や山、そして狩猟文化に重ね合わせる。そう、ここは薪火で大原のテロワールを描くレストランだ。

その舞台となる大原という土地もまた、料理の背景として興味深い。京都市街から北へ少し入った山間の集落で、古くから京野菜の産地として知られる里山だ。昼夜の寒暖差が大きく、水も豊富。その自然条件が野菜の味を濃くする。一方で近年は若い農家も増えているという。料理人との対話を重ねながら、新しい品種や栽培方法に挑戦する人たちが現れ、その結果として面白い野菜が次々と生まれている。長く続く京野菜の伝統と、新しい農業の挑戦。その二つが同居しているのが、今の大原という土地らしい。

この店の料理もまた、その環境と強く結びつく。畑の野菜、山の野草、近隣の猟師が仕留めたジビエ。それらに薪火の香りをまとわせ、フレンチの技法で整理していく。乾燥させたぶどうの葉のウェルカムティーから始まり、アミューズでは「紅芯大根... More