- ミトミ えもん added a new meal Dinner at 鮨 将司 at Sushi Masashi
.
【鮨 将司】
北青山に暖簾を掲げる『鮨 将司』。2020年のオープンからわずか1年でミシュラン一つ星を獲得し、その後も星を守り続ける実力店だ。一言で表すなら、積み上げた技術で魅せる鮨。店主・山口将司氏は、リッツ・カールトン東京や「すきやばし次郎」の系譜を継ぐ「鮨... More
.
【鮨 将司】
北青山に暖簾を掲げる『鮨 将司』。2020年のオープンからわずか1年でミシュラン一つ星を獲得し、その後も星を守り続ける実力店だ。一言で表すなら、積み上げた技術で魅せる鮨。店主・山口将司氏は、リッツ・カールトン東京や「すきやばし次郎」の系譜を継ぐ「鮨 ます田」で研鑽を積んだ王道の職人で、そのキャリアがそのままカウンターに表れる。仕事の精度で納得させるスタイルに加え、大将の雰囲気や所作の美しさも含めて、完成度の高い一軒である。
内装のクオリティも高く、凛とした空気を保ちながらも居心地の良さを両立。器の選定にも抜かりがなく、一皿ごとに世界観を補強する。さらにソムリエがしっかりと介在し、日本酒やワインの提案で食体験を底上げ。鮨屋という枠を越えた「レストラン」として総合力を持つ。
導入は店のシグネチャーである「雲丹と鮪とろの手巻き」。濃厚な雲丹と鮪のすき身の脂に対して、中にしのばせた奈良漬の発酵由来の香りとコリっとした食感が差し込まれ、味わいに立体感を生む。単なる贅沢に終わらず、構成で食べさせる完成度の高い一品だ。
ここで印象を大きく引き上げたのが「鮪のすき焼き」。鮪のとろをすき焼き仕立てにするという発想もさることながら、火入れによって引き出された脂の甘みと、割り下のコクが見事に重なり合う。さらに奥久慈の卵を絡めることで、味わいは一気にまろやかさと奥行きを増す。単体ではやや濃厚に振れているが、最後にシャリを落とすことで一気にバランスが整い、余韻まで含めて完成する設計。
握りではシャリの硬さが心地よく、この粒立ちが全体の輪郭を引き締める。「烏賊」は包丁の仕事で甘みを最大化し、「春子鯛」は繊細な締めで旨味を引き出す。「牡丹海老」は煎り酒のニュアンスで甘味を引き立て、「鳥貝」は香りの高さが際立つ。「茶碗蒸し(白魚 筍)」で季節感を挟み、「赤身漬け」「中トロ」「大トロ」と王道を丁寧に積み上げ、「小肌」で仕事の精度を見せる。「車海老」は火入れの妙、「穴子」はふわりとほどけて余韻を残す。
全体を通して感じるのは、やはり基礎力の高さと安定感。その上で、構成の中にさりげなく個性を差し込むバランス感覚が光る。料理、空間、サービスが高い水準でまとまり、安心して身を委ねられるカウンターがここにある。北青山で、間違いのない鮨を食べたい時に思い出す一軒。ご馳走様でした。
#鮨 #北青山 Less
