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【洋カツ屋ドン・デ・ラ・ナチュレ】
恵比寿の住宅街に2025年7月オープンした『ドン・デ・ラ・ナチュレ』。店内はピンクがかった柔らかなトーンでまとめられ、オープンキッチンを中心に明るく清潔感のある空間が広がる。カウンター席のみの構成で、料理人の所作がよく見える距離感も心地いい。厨房に立つのは若いシェフたち。ビストロやイタリアンのような雰囲気があり、いわゆる洋食店とは少し違った空気が漂う。
メニューは洋食の定番である、ポークカツや蟹クリームコロッケなどが並ぶ。季節限定でカキフライなども加わるようだ。すべてにサラダ・スープ・ライス付き。素材には幻水豚や本ずわい蟹など、名前のある食材を使用しており、定番ながらも内容に厚みがある。この日のスープは「有機かぼちゃのポタージュ」。野菜の甘みが素直に引き出されており、口当たりも滑らか。最初の一口で料理全体への信頼が生まれる。
看板の「幻水豚のポークジンジャー」は、厚切りロースに香ばしい焼き目をつけ、生姜ダレをたっぷりまとわせた一皿。タレは甘さよりも力強さが前に出ていて、生姜の辛味と醤油のコクがぐっと舌を掴む。そこに玉ねぎの甘みが重なり、パンチがありつつも立体的な味わいに仕上がっている。特徴的なのは、その強いタレのあとに、しっかりと肉の旨味が広がってくること。その事実が、幻水豚という素材のポテンシャルをはっきりと証明している。脂ものりつつ、重たさはなく、火入れも的確。キャベツやスプラウトが味を整え、レモンの酸味で輪郭が締まる。ご飯が足りなくなるのは時間の問題だった。
料理の完成度もさることながら、空間の空気感、料理人の立ち姿、素材への目配りに至るまで、すべてに芯がある。いわゆる昔ながらの洋食とは一線を画す構成で、店の佇まいも料理も洗練されている。まだオープンから日が浅いが、これから間違いなく支持を集めていくだろう。ご馳走さまでした。
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