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【餃子のお店もも】
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大阪・昭和町。路地に灯る黄色いテント、その下に小さな暖簾を掲げる『餃子の店 もも』。創業は2004年と、年数でいえばまだ20年にも満たないが、店構えには不思議な“老舗の風格”が漂う。派手さはなくとも、積み重ねた時間の厚みを感じさせる空気感。暖簾のくぐり方ひとつにも、地元客のリズムが染みついている。ここには、昭和町という街のゆるやかな時間が流れている。

看板の「餃子」は、まさにその象徴。ひとつひとつが小ぶりで、つまみのように軽やか。柔らかな皮は指先で摘むとわずかに沈み、噛むともちっとした弾力を返す。片面には香ばしい焼き色がつき、音まで美味しい“パリ”の瞬間がある。中の餡は、豚肉をベースにニラやキャベツをしっかり混ぜ込み、下味をきっちり効かせたタイプ。タレに頼らずとも成立する完成度だが、この店ならではの食べ方が、酢橘と塩。酢橘の酸が肉の甘味を際立たせ、塩が全体をシャープにまとめる。しっかり味の餡に、このミニマルな組み合わせが絶妙に映える。

つまみの一品も見逃せない。「変なやっこ」と名付けられたその皿の正体は、なんとチーズ。見た目はまるで冷奴だが、箸を入れた瞬間に広がるのは乳の香りと塩気。鰹節、葱、生姜、醤油という王道の薬味をまといながら、舌に残る余韻は完全に洋の風。豆腐のようで豆腐でない、この“だまし絵”のような一皿に、思わず笑ってしまう。餃子の合間に挟めば、チーズのコクが酸味と香ばしさをやわらかく受け止め、食卓に新たなリズムを生み出す。

お通しの「三つ葉の胡麻和え」と「野菜スティック」もいい。どちらも素朴で、味の輪郭がはっきりしている。強い餃子の味を支える、控えめだけど確かな脇役たちだ。

『餃子の店... More