味噌は、声を荒げなくても、人を連れていく。
湯気の立ち方が穏やかで、丼の表面には、白濁でも濁りでもない、きめ細かな脂。
光を受けて、ふっと呼吸する。
地鶏と貝出汁を重ねたスープの奥で、
四種の味噌が層を成す。
熟成味噌が芯をつくり、
仙台赤味噌が深みを与え、
信州白味噌が角を落とし、
合わせ味噌がすべてを包み込む。
混ざり合っているのに、澄んでいる。

箸を伸ばすと、もち麦全粒粉の麺が応える。
ねじれ、うねり、ざらりとした表面。
ひと口すすると、味噌の厚みのあとに、生姜の香り。ほんのりした辛みが体に染み、
一瞬、札幌の冬を思い出す。
黒豚ロースとバラは、舌の上でほどけ、
大山鶏と蓮根の肉詰めは、シャキッと音を立てる。炭火焼きの香りが、景色を切り替える。
中央のすりおろし生姜。
仕上げは、原了郭の焙煎黒七味。
香りは立つが、支配しない。
力で押す味噌らぁめんではない。
組み立てられ、抑えられ、整えられた一杯。
——また来てしまう。
それでいいと思わせる味。
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