冷麺の季節じゃなくても、食べたくなる──紫野「中華のサカイ本店」
大徳寺の東側、ふと道を曲がると、「中華のサカイ本店」が現れる。いかにも町中華、なのにどこか品がある。京都で「中華を食べたい」と言われたら、わたしはいつもここを勧める。

お目当てはもちろん「冷麺」。
とはいえ、こちらで言う“冷麺”は、いわゆる冷やし中華のこと。むっちりと太い麺を氷水で締め、マヨネーズベースのタレで和える。
コクの中に酢の酸味とからしの香りが立ちのぼり、あとを引く。焼豚かハム、きゅうり、刻み海苔。具は潔く、主役はあくまで麺とタレだ。

昭和28年に始まり、今では通年提供されているのも常連の声があったから。
そんな店と客とのやりとりが、いい。
創業は昭和14年、もとは喫茶店。
戦後に洋食から中華へ転じ、名残の「オムライス」も人気の一品。
ケチャップライスを薄焼き卵で包んだ、やさしい味がする。湯気立つ厨房、手書きの品書き、トリコロールのエプロン姿。ここに流れるのは、「変わらないこと」の信頼。京都で冷麺と言えば、やはりこの一杯を思い出す。そして、口にすればまた来たくなる。そんな味。

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